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らんまんのhuaのレビュー・感想・評価

らんまん(2023年製作のドラマ)
4.2
牧野富太郎氏の波乱の生涯を描いた朝井まかてさんの『ボタニカ』を読み、とても面白かったので期待したが、最初はダラダラとした印象でワクワク感がなく挫折しそうなところで、第6週東京編になってから急に面白くなり、最終回まで至った。
結果、心に深く残る素晴らしい朝ドラとなった。

『ボタニカ』での牧野さんは佐川の実家にお金を無心し続け、実際の牧野博士はさらに壽衛さんの稼ぎも使い込み借金まみれであったり、自身では稼ぎを全く得られない、なかなかのクズっぷりであったが、その辺りドラマでは柔らかく何となくの描き方で、神木さんがクズに見えなかったのは朝ドラとしてはよかった。

とにかく、寿恵子が素晴らしい人物で、実際の壽衛さんも牧野富太郎氏を生涯全力で支えたのだろうと想像すると、尊敬の念しかない。
浜辺美波さんの品のある美しさと、芯の通った、時に気丈な寿恵子の役は、彼女しかあり得ないと思わせるほどだった。

そんな伴侶にめぐり逢い、紆余曲折ありながらもただただ大好きな植物学を突き詰めた人生はどんなだったのだろうと、御本人に聞いてみたくなった。

図鑑が完成し、そこに「空へと還った我が娘の園子に、本書が届くよう祈る」との一文からのスエコザサのシーン。涙が溢れて溢れて仕方なかった。

最終回まで愛と優しさに溢れた物語だった。
なんだか今日は1日ロスで気持ちが沈んでしまったほど。


〈以下余談〉
ドラマにも登場した小石川植物園に、昨年足を運んだが、私の人生においても、心に残る大変お気に入りの場所となった。
昨年の5月の少し肌寒く、時々小雨が降るような日だったのだが、雨に濡れた新緑がそれはもう美しかった。
長時間歩き回ったが、緑の力で全く疲れないという経験をした。
そんなことからも、その後知った朝ドラ『らんまん』をとても楽しみにしていて、期待を裏切らない脚本とキャスト…関わった全ての方に感謝したくなるほどの名作だった。
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