まさみ

ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋のまさみのレビュー・感想・評価

3.5
「シェイプ・オブ・ウォーター」や「パンズ・ラビリンス」で有名なギレルモ監修。期待して見たわりにはうーん……。

タイトルの驚異の部屋は別名ヴィンダーカンマーといい中世の王侯貴族が珍品名品を蒐集した部屋をさす。博物館のもとになったともいわれてる。

各話冒頭にギレルモ本人が登場して口上を述べるのだが、これが一番面白かった。ぶっちゃけ「世にも奇妙な物語」のタモさんデジャビュがすごい。ギレルモの恰幅良さやチャーミングな言い回しが際立って、ブラックなユーモアを添えていた。

しかし肝心の中身は手放しに褒められない。不気味な雰囲気やじわじわくる恐怖を期待して見たらグロさの方が際立ってた。そういうの求めてたんじゃないんだけど……。

1・2・3話と人体損壊や臓物をクローズアップしたグロ描写が続いてこの時点でやや食傷気味。
1・2話は悪人が報いを受ける話で、3話の善人は助かるかと思ったがそんなうまくいかない。
でもあの覚悟と命と引き換えに友人を守ったラストはあっぱれ、テープの伏線も見事に回収されてた。

4話はルッキズムへの諷刺っぽい話で生理的嫌悪マシマシな描写たっぷり。炎症を起こした皮膚をかきむしる描写が痛々しい……途中まで旦那は主人公の妄想の産物だと思ってた。
「君はそのままで素敵だ」って説得から改心するかと思ったんだが……
主人公にしてみれば「お前がよくても私は断じてよくない」に尽きる訳で、そりゃどうしようもないよな。
どれだけ他者に肯定された所で自分が納得できなきゃ意味ない、身も蓋もない現実が薄ら寒い。

夫や彼氏の優しい言葉で「そうか、ありのままの自分を認められない私が間違ってたのね!」って気付く、チープな美談を皮肉った意地悪い視点はなかなか良かった。

終盤の展開は主人公の妄想か否か解釈が分かれる。

レトロな美術や小物にギレルモ流のこだわりを感じられたのは嬉しいものの、グロ描写に頼らない良質なホラーを見たかった。
まさみ

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