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ダーマーのlalalalabombaのレビュー・感想・評価

ダーマー(2022年製作のドラマ)
4.1
アメリカで実際にあった衝撃的な連続殺人事件の犯人ジェフリーダーマーにスポットを当てたNetflixオリジナルドラマ。
とにかく犯人の心情には共感出来ないゲイで被害者達が黒人などが多く犯人が白人なので10年以上犯行はばれず他の罪で警察のお世話になったことはあるのに殺人事件は発覚しなかった。

その経緯を時間軸を時々ずらして描写していく。

幼い頃から親とは離れて暮らし、父親に教わった魚の捌き方や内臓に興味を覚える。

高校生の時から酒浸りでアルコール依存は治らず、大学も軍もクビになる。せっかく見つけた肉屋の仕事も酒に酔って軽犯罪を犯しクビになる。
女では興奮できず、男にそそられゲイとなる。
一緒にいて欲しくて麻薬で昏睡させ殺してしまう。
死体を解剖し内臓を取り出す。

これのどこに共感できるだろう?

ドラマはジェフリーの行動を事細かに描写していく。しかし殺人の全てを描くわけでもない。

10話のうち6話くらいからジェフリー個人の生い立ちから警察の手抜き捜査や被害者が国人やヒスパニックアジア人が多かったと言うことで、社会的な問題として極めて民主党的なアプローチになっていく。
ジェシージャクソンがしゃしゃり出て来た辺りからアメリカ社会の根本的な問題も提起していく。


それはBLM運動と同じ匂いがする。

B L Mや議事堂占拠事件も経験しているのでもう少し高い視点から俯瞰して欲しかった。
隣の黒人の叔母さんの言うことはわからないではないがかなりバイアスがかかっていてまるで蓮舫みたい。
シリアルキラーと黒人の蓮舫は隣人同士だったと言う最悪のアパート。

こんなアパートにだけは住みたくない。
蓮舫おばさんは何度も緊急事態と警察に通報しすぎて相手にされなくなった。事件の発覚が遅れた一因でもあるだろう。

アメリカ中を震撼させた猟奇的殺人事件か起きる時犯人本人ではなくいろんな場所からその責任を問いはじめる。
父親、母親、警察……。
責任を問うべきはジェフリーだ。
警察の対応に問題があったからと警察に責任を求めるのはお門違いというものだろう。
ジェフリーダーマーが黒人だったらジェシージャクソンはわざわざウィスコンシンまで出向いただろうか。
お事件とは直接関わっていない人間が各々の立場で自分の意見を言い出す。それが組織の利益や利権に関わることならだんだん過激になっていく。

BLMはやがて略奪や暴行に発展したように個人や組織の欲求を満たそうとする。
隣人の蓮舫おばさんはようやく自分のしたことが報われてジャクソン牧師にハグされて涙する。

物語の緊張感はこの辺りから段々と白けてくる。
これがアメリカの本質なんだろう。
誰もがその利益を追求する権利があると。

妊娠中にも関わらず薬物依存する母親、息子が殺人犯であるのに自分はいい父よさ親だったという父。
何度も警察に通報し隣人を追い出すことに必死な隣人…それを政治的に利用しようとする大統領候補。
ここにアメリカの本質がある。
誰もがジェフリーダーマーになる資質を持っている。
アメリカという国家がそういうDNAを育んでいる。
裁判のシーンなどは情緒的だ。
それぞれが思いの丈を自分の言葉で主張する。
その各々が正しい。
戦争を終わらすために広島と長崎に原爆を落とす国。
ダーマーの犯行の詳細はWikipediaを見れば知ることが出来る。
ドラマはエグい描写や関わった人々の悲しみも描くと共に事件を自分たちのエゴのために利用とする団体組織も描く。

死刑を望んでも州の法律で叶わなかったジェフリーは刑務所内で自己の権利を主著する。
殺人犯の父親は手記を残してベストセラー作家気取り。
現在時のアメリカを見るとジェフリーダーマー事件はアメリカの闇の縮図とも受け取られる。

ドラマは音の使い方が強烈だ。
ドアを閉める音、心臓の鼓動…。必要以上のヴォリウムで響く音は耳元を飛ぶ虫のように嫌悪感を感じる。

ドラマとしては非常に面白いものだったが、一言で面白いといってしまうのには抵抗がある。
主演は素晴らしい演技でまさに怪演。
Wikipediaの写真にそっくりの役作り。
関わった人たちは、アメリカはジェフリーダーマーをゆるせるか?
獄中で洗礼を受けたジェフリーは救われたのか?
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