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クイーン・シャーロット ~ブリジャートン家外伝~のtaruponのレビュー・感想・評価

4.4
私的には、本家ブリジャートンよりも面白かった。
ブリジャートンは19世紀初頭あたりの舞台設定で当時の様子も取り入れつつも英国貴族に非白人系の人を登場させある現代的多様性に配慮した配役をしている。
そして、このクィーン・シャーロットは史実に基づくIFを膨らませた作品。この非白人系のの設定も、単に多様性ということではなくて、史実を膨らませたIFのストーリーになっている。
このシャーロット王妃の黒人設定は、先祖のポルトガル系からムーア人の血を引くという説があることからきていると思うが、それをベースにあの時代で黒人系の王族や貴族が入ってきたら!という部分が、レディ・ダンベリーの話も含めてふくらまされている。

また、時代はシャーロット王妃、レディ・ダンベリー、ブリジャートン母のヴァイオレットの若い時だが、途中現在も交えて時代を行き来して見せることで、彼女達の今(ブリジャートンの描かれている時)が、より説得力を持って感じられるように見せている。
主人公は、もちろんシャーロットだが、レディ・ダンベリー、そしてジョージ3世母のオーガスタ等の女性達が与えられた場所でたくましく生き抜いていく物語だし、バイオレットとレディ・ダンベリーとの関係性も良く描かれている。そして、もちろんジョージ3世とシャーロットの愛の物語でもある。
歴史のIFでいえば、ジョージ3世が晩年精神疾患を患っていたことは事実だし、ポリフィリン病という遺伝病もあった説もあるらしいけれど、あの初期からの設定はシャーロットとの関係性を描く上でのフィクションだと思うけれど、あの設定のおかげで、王とはどういう存在なのかを随所で問うことになるし、あの中でどう愛を育み、絆を深めていったのか、シャーロットとジョージが大好きと思える物語になっている。
本当にシャーロットとジョージのエピソードはどれも好き。お互い思いあいながらもすれ違うけれど、特に最終話の最後のシーンは、ちょっと涙なくしては見られなかった。

さらに子ども達に対して、血を繋げるために正式の結婚から生まれた後継者を欲しい話はふくらましているけれど実話。
あんなに子どもがたくさん生まれたのに、息子たちはなかなか正式な結婚をしないし、娘たちは未婚だしで本当に後継者ができなくて、劇中でもでてきたけれど唯一のジョージ4世の娘も早世してしまうし。
あの最終話で妊娠報告があった赤子はビクトリア女王。
(でも実際には、シャーロットは生まれるのを確認することができず亡くなってしまいます)

ブリジャートンの時は、若干ヒールよりの描かれ方がされていたシャーロット王妃だけれど、今回の描かれ方で前向きに進むシャーロットが大好きと思える。

今回の外伝、面白かったがあの結末を考えると、外伝自体はこれで終わりなんだろうなぁ
(本編はse3,4があるようなので楽しみに待ちます)
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