うっちー

マスクガールのうっちーのレビュー・感想・評価

マスクガール(2023年製作のドラマ)
3.5
 面白いことは認めるし、7回だからサクっと見られるところもよい。しかし、なんというか、特に初回から4回分くらいと最終回あたりに救いがなさ過ぎて、また、わざと悲惨な方、悲惨な方に振ってるような展開に、ちょっと違和感というか、鬱な気分になってしまった。 

 恵まれない容姿のせいで選択を阻まれたり、いじめや嫌がらせに遭ってきたヒロインがマスクガールとしてネットを通じてライブ配信をし、人気を集めるが、そこからさまざまな不幸に見舞われ、奈落の底に落ちてゆくという闇ストーリー。マスクガールは整形前、後、さらにその後と3人の俳優(子役時代含めたらさらに増える)が演じている。
 まず、1人の女性の、それほど長くない時間を何人もで演じ分ける必要があったのかなぁと疑問。とくにナナ〜コ・ヒョンジン様の流れ。ふたりとも熱演で素晴らしいのだけど、なぜナナ(刑務所に入ってからの回がたまらなくよかった❤️)から敢えて変えるのかがわからなかった。ちょっと中途半端だし、整形後、刑務所にいるのに顔のタイプが変わるのは変では?

 まぁ、それはさておき、キャラクター造形が素晴らしいヒロイン、モミの会社の同僚の、小太りなオタク役のオナム(アン・ジェホンが巧み!)の扱いが雑でかわいそう過ぎ、勿体なさ過ぎ(襲うのは悪いけど、彼はモミの魅力を理解してたと思うので)だと素直に思った次第。

 後半の、モミとチュニ、ミモとイェチュンのシスターフッドっぷりは興味深く、刑務所シーンはまるで『オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック』。この辺のテンションは良かったけれど、終盤、被害者から加害者になるしかなかった女たちの殺し合いはあまりにも無惨で、救いがなく、制作側の真意を疑ってしまいそうになる。行き過ぎたルッキズム(その被害者であるモミは自分も結局ルッキズムによって支配されてるように思う)を問題視しながらも、結局悪しき現状に屈してるように思えてしまったから。この辺の解釈は人それぞれだろうと思う。

 
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