うっちー

もうすぐ死にますのうっちーのレビュー・感想・評価

もうすぐ死にます(2023年製作のドラマ)
3.8
韓ドラファンの方に教わって新年早々完走したドラマ。死に至るまでの生の苦しみ、そして血に塗れた死の苦しみ、そして死んだ者の周りの残された者の苦しみを描いて痛々しい。

主人公はソ・イングク演じるイジュ。格差社会の歪みを一身に受けたようない不運な青年。あらゆることがうまくゆかず、自死を選んだが、その果てに更なる苦しみが待っていた、というお話。いや、やりきれない。生き地獄か死に地獄か、、、こんな目に遭わされた日には。

彼が生き、死に直すことになる面々がとにかく豪華。イ・ジェウク、イ・ドヒョン、キム・ジェウク、ソンフン、オ・ジョンセなどなど。また、悪辣な大企業社長はキム・ジフン。イジュの母親はキムミギョンさんで恋人はコユンジョン。そしてイジュを振り回す死の世界の番人のような役にパクソダム。お腹いっぱい。

最初の4話くらいまではよくできてるなと思って観ていたが、終盤はちんまりと縮んでしまった感。また、ジェウクのパートのエピソードがあまりに残酷で、再現の必要性を感じなかった。やりすぎなのではと思った。どんなに真摯なメッセージがあってもゴア描写を執拗に入れ込むことこそ命の軽視にあたるのではないかと思うし。バイオレンスで押す作品ではないと思うし。

自殺する若者が多い印象の韓国の国内事情を反映したドラマなのかと思っていたけれど、周りの人の思い(そりゃあ辛いのは重々わかってるはず)のみを切々と説いて終わる感じは、ちょっと無難にまとめすぎに思えた。だって本人はその状態では他のこと考えられない、病なんだもの。

命はその本人の自由、とはいいきれないが、『MASH』(アルトマン)の主題歌が頭に浮かんだ。
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