うっちー

悪魔判事のうっちーのレビュー・感想・評価

悪魔判事(2021年製作のドラマ)
4.0
善悪の判断や何かを人に訴える際のやり方について、すごく考えさせられるドラマだった。初回からかなり突飛な設定を持ち出して、観るものに揺さぶりをかけてくる。ケレン味しかないような危険さも孕んだドラマ。

公開裁判やネットを活用した視聴者が陪審員になる制度など、想像はできても日本ではなかなか実現は難しそうな制度が、このドラマでは派手に再現される。まるでショーマンのようにこの裁判を取り仕切る判事が、この作品の主役のチャン・ヨハン。観客を巻き込んで楽しんでいるかのように裁判ショーを繰り広げる彼は、鞭打ち、公開処刑など、さまざまな非人道的な判決と罰を言い渡す。その真意がどこにあるのか、まるで見えない。

また、ヨハンに対抗するのは、露悪的なYouTuber大統領、社会的責任財団の理事、金融界の大物などの面々。この顔ぶれの会合が醜悪でいたたまれない。なかでも財団の理事の座を奪って牛耳るヨハンの幼なじみでもあるキムミンジョン演じるソナが凄い。隙がなく残酷で、先回りして先手をうちまくる。かなり憎たらしいのだけど、ミンジョン氏はとろけそうな美貌で、なんとも言えない悪魔的魅力を放つ。また、悪いことに自覚的で最後の始末をつけるラストはシンプルによかった。ヨハンに対する初恋の情は余計だったかもだが。

また、ヨハンの補佐役となる若手判事(あんなに若い判事いるの?)のガオン(ジニョン)とその幼なじみの刑事、スヒョン、また、ヨハン宅のエリヤとお手伝いさんなど、清涼剤となったりほんわかさせるシーンも多々含まれていて、単にケレン味だけで押しまくるつくりではないのは好感がもてた。しかし、スヒョン……😢 

突っ込みどころはあれど、個人的にあまり好きでないチソン氏のマスクをみながら最後まで完走して、ちょっぴりロスにもさせるドラマ。よくできている作品と思います。
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