延々と歩く

コペンハーゲン・カウボーイの延々と歩くのレビュー・感想・評価

コペンハーゲン・カウボーイ(2023年製作のドラマ)
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 「ドライブ」「ネオン・デーモン」のニコラス・ウィンディング・レフンがドラマシリーズに進出した第二弾。超能力を持つ女殺し屋が、故郷のコペンハーゲンで仕事を請け負ううち囚われの中国人母子や生き血をすするHentai貴族に出会う。

 何だよこのドラマはよお…まあこの監督さんがフツウに収まる訳ないけどさあ。

 北野武「Takeshi's」やデヴィッド・リンチの諸作品など、「映像で観る抽象画」、精神分析的にいろいろなメタファーを考えて見てほしいドラマなのだろう。

 全6話のうち5話目まで我慢したあと逃げ出し、久しぶりのネトフリ復帰でのぞいてみたら案外楽しめた。80年代なデュビデュビなシンセ音楽と映像の綺麗さで持っていかれる。最初から観直したら感想ちがってくるのかしら。

 天才監督の好き勝手やりまくった難解アート映画に対して「映画は皆に分かるように作るべき」という美意識なり姿勢は理解できるし自分もよくやる。

 黒澤明のモノクロ時代は良し、カラーになってからの「影武者」「乱」「夢」は認めない、みたいなアレ。

 今作に関してはオモロイ部分もあったからそうも言えないもどかしさ。「音楽と絵がキレイなだけでしょ」という批判はあるだろうけどそのふたつによってうまく表現された何者かがあったのは確かだろうし。

〇あんま関係なくて細かい話
・ダフトパンクあたりが復活させてUKバンドやレフン氏もよくつかうシンセ音楽を「80年代的」って言われるけど、その時代って個人的には「ラジオスターの悲劇」とかマドンナの全盛期のイメージなんだよな。85年うまれでそのあたりディグってないから偉そうに言えないけど。

・Hentaiな弟に色気だしまくってるおばさんの生き血で覚醒させられるスレンダーお姫様がいい感じだった。調べてみたら監督の娘さん(ローラ・コルフィクセン)で驚く。こういうメタファーましまし作品で娘さんがラスボスポジションって考察はかどりまくるヤツ。まあ監督はそれを見越して軽い気持ちで入れてくるのだろう。北野武がフェリーニ「8 1/2」を「クイズやパズルは作る側が楽しく簡単に作るほど解く側は難しい」と評価していた。
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