延々と歩く

FARGO/ファーゴ:カンザスシティの延々と歩くのレビュー・感想・評価

3.1
 シーズン3を完走してた流れで観たけど…うーん。連続ドラマや「ファーゴ」シリーズ入門編としてはまったくお勧めしない。高品質なところはたくさんあるんだけどねー。

 「イタリア系と黒人のギャングが対立→抗争をふせぐためそれぞれのボスの息子を人質として交換して育てる」というストーリーがあるのだから、人質になった子供たちの目から見た異文化交流の可能性みたいなことやりゃ良かったのに…みたいな海外のレビューがあったらしいが、確かになーとは思った。

 そのかわり「ギャングたちの見たアメリカ・人種差別の現実」みたいのはくどいほど語られる。まあこの時代にこの内容だったら避けられないのは分かるけど、ここまで厚ぼったくしてそれがシリーズの完成度なり魅力なりにつながったかどうかは難しいと思う。

 キャラクターたちはそれぞれ強烈なんだけど、記憶に残るとこまでいかない、というか…。

 葬儀屋の娘さんなど、「勉強してピンチを抜け出すんだから全然わるく無いハズなんだけど、なんか不気味・『彼女が成功例なんだ!』みたいに言われてもな…」みたいなキャラクターでもっとそこを強調できそうなのに作品の”真面目”なメッセージのせいでそこらの広がりが失われた感じがある。

 クリス・ロックの悪役ぶりも中途半端というか。まあギャングスターに幸せになられても困るし実際そうならないんだけど、もう少し突き放した扱い方をしてもらわないとドラマとしてはピリッとしない。

 終始いかにも「ファーゴ」っぽいユーモアにつつまれてたのはサイコ看護婦を演じるジェシー・バックリーだった。好きなタイプの女優さんなので、これからガンガン活躍してほしい。
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