デヴィッド・フィンチャーの手がける傑作ミステリードラマ。実在したFBI捜査官たちをモデルに、プロファイリングを用いてシリアル・キラーどもを追い詰めていくお話。
フィンチャーによると残念ながらここで打ち切りだそうだが、ともかく内容は良かった。
基本的には研究のためにシリアル・キラーをインタビューしていくだけのドラマなのに、こんなに面白いのは不思議である。回想シーンで残酷な犯行を見せる、とかもないし。シリアル・キラーどものキャラクターも似てるっちゃ似てる。
陳腐な言い回しかもしらんけど「真実は小説よりも奇なり」って事なんですかね~。
雑誌記者の録音テープをもとに構成されたという「人生はローリングストーン」という映画も、とくに何も起こらないお話なのに引き付けられちゃったからなー、やっぱ「現実」のもつ求心力ってあるなと認めざるを得ない。
前半3話をフィンチャーがしっかり固め、あのチャールズ・マンソンが登場する中盤はブラッド・ピットとのコンビやマリリン・モンローの伝記映画「ブロンド」で有名なアンドリュー・ドミニクが担当している。ねっとり自己陶酔した雰囲気の監督さんだけど、ちゃんとこのシリーズに馴染んでいた。
後半四話はアトランタにおける連続児童殺人事件を扱っており、こんなひどいことが起きてたのは知らなかったので驚いた。
人種の入り混じった治安も景気も悪い地域で、捜査はおざなりだしそもそもアトランタ市が事件の存在を認めたくない→認めると「犯罪都市」という事になって大企業を誘致できなくなる、などの事情にはばまれ捜査官たちは苦戦する。
「被害者が連れ去られたのが黒人地区→白人がいれば目立って仕方ないのに証言がない、犯人は黒人」との推理を立てるが地元が支持基盤の有力者たちは嫌な顔をするし、被害者遺族の集まりからも「こちらの人種に罪を擦り付けた!」との陰謀論が立ち上がるし…
ドラマだけで判断するならこの世の生き地獄という感想しかない。シリアルキラーに立ち向かうというのはこういう事なのだろうが。
最後までクオリティの下がらぬすごいシリーズだったのは間違いないけど、あんま後味の良くないのはなかなか難しい気がする…そりゃ爽快にしたらかえって怒られるかもしんないけどさあ、シリーズが打ち切られちゃったのも重苦しすぎて視聴者がついてけなかったからかもしれないし…
せめて「BTK」の決着だけでも3時間くらいのドラマにしてくんないかなあ…
あとアトランタ編はすごすぎてコレも独立したシリーズや映画にした方がよかったんやろうか、とか…こういうのを映画で扱えないことに今の映像業界の問題があるような…
仕事忙しすぎて家を開けがちなデンチ捜査官の養子が明らかにシリアル・キラーの幼少期っぽい感じがでてきて可愛いくせに目つきヤバすぎぃ!このあとの激ヤバな展開をみなくてすんで良かったのか?とか思わんでもない。