延々と歩く

スティーブン・キングのザ・スタンドの延々と歩くのレビュー・感想・評価

3.0
 致死率・感染率ともに99%という激ヤバ伝染病におそわれたアメリカを舞台に、抗体をもって生き残った人たちのお話。

 原作は「モダン・ホラーの帝王」、スティーブン・キング。そもそも長く書きがちとされる彼の最長巨編(文庫版にして全5巻!)をとりあげて4話にまとめている。日本版だとちょっとカットされてるのかな?

 映画・ドラマに世界一お金をかけるハリウッドでも90年代半ばってこのくらいだったんだなーという印象。小説苦手なので「原作のダイジェスト」とか言われても全体像を把握しやすくしてくれてるのはありがたい。

 キング自身が「闇のキリスト教物語」というように終盤は歴史のお勉強で耳にした殉教者の話みたくなってくるし、生存者の中から同じ夢を見た者たちが「マザー・アビゲイル」のもとに集う…というのがもう見ればわかる宗教的なヤツやん。

 そして「おいおいキング~、大巨編まとめるのにしっかりした骨組みが欲しかったのは分かるけどそっちいっちゃう~www?」などと半笑いな雰囲気だしつつ一番宗教くせえ最終話だけ二回も見ちゃったのは内緒だ。

 2020年に全9話のスケールでリメイク、最終話のみキングが新たに脚本を仕上げ直したそうだが、そこの確認のためだけに見てみようかな。

 最近めっきり聞かなくなったが「大きな物語」とか「『大きな物語』の終焉」とか言う言葉があって、要は大きな決断をするならそれ相応の「大きな理由」が必要だけど邪魔くさいからそこらへんチャラにしてみたら今度は皆がバラバラに分断しちゃって寄る辺なく不安だよね…みたいな感じだと思う。

 そういう時代に大長編小説を書くのに、キングが自分の背骨にしたのがキリスト教だったのだろう。色々と批判はあるだろうけど古いものとは言え答えがあるだけいいのかもしれない。こういう人なり文化なりというのは強いんだろうな~。
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