ラスコーリニコフ

VIVANTのラスコーリニコフのネタバレレビュー・内容・結末

VIVANT(2023年製作のドラマ)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

キャストのみ事前公開された話題作。最初は半沢直樹のような企業ものなのかと思いきや、段々と国家規模の諜報活動に軸足が移っていき、公然の秘密組織「別班」がテロ組織「テント」の謎を追う物語となる。毎週謎が謎を呼ぶ展開だが、ストーリーの軸はハッキリしている。それは乃木を巡る愛の物語、乃木がアイデンティティを見出していく物語ということだ。乃木には国家への忠誠ばかりが先立ち、一見すると軸がない。空虚な人間ほど、大きな組織への帰属でしか自己を自覚できないものだ。しかし、恋愛、父や義弟への愛を通じて、乃木は改めて国家への使命を果たすことを再定義したはずだ。ここの軸はブレていない。
また、この作品は配信よりも毎週観るべき作品だった。なぜなら、飛び交う考察を見ながら、あれこれ考えるのが楽しみの一つだからだ。大衆的なクイズドラマなどという評価もあったが、そこまで的外れではないだろう。だからこそ、最終的な答え合わせはややがっかりした側面もあった(某大物俳優がただの不倫オヤジなのか?)。最後に復讐を果たしてしまえと思った視聴者も多いだろうが、おそらくベキが生き残っていることも踏まえると、落とし所としては納得するしかないか。