さらに緊迫度を増した完成度の高いシーズン3

『ディプロマット』は、アメリカのキャリア外交官ケイト・ワイラー（ケリー・ラッセル）が、突然イギリス駐在アメリカ大使に任命され、国際情勢の最前線に放り込まれる政治スリラー。英国の空母攻撃事件をきっかけに、米英ロの思惑が絡む外交危機が加速し、ケイトは次々と難しい判断を迫られていきます。

物語のもう一つの軸となるのが、夫ハルとの関係。
かつて一線級だった敏腕外交官のハルは、復権を狙ってケイトに寄り添う一方で、彼女の仕事をかき乱してしまう“厄介だけど憎めない存在”。
国家の駆け引きと夫婦のバランスが常に揺れ動き、個人的な感情が政治にどう影響するのかが丁寧に描かれています。

■ データ
シーズン：第3シーズン（全8話）
配信：Netflix／公開日：2025年10月16日
監督・脚本・製作：デボラ・カーン

■ 感想
10月に配信開始されたシーズン3。
シーズンを重ねるごとにパワーダウンするドラマが多いなかで、シーズン1，2を上回る面白さでした。

兄弟国とも言えるアメリカとイギリスの関係。かつてイギリスから独立したものの、今や世界の覇権を握る圧倒的パワーを持つアメリカ。そんな2国の微妙なパワーバランスと、共にキャリアを目指す夫婦の繊細な愛情関係のパワーバランス、その2つが複線的に描かれているドラマ。

シーズン1の夫ハルは、駐英アメリカ大使であるケイトの夫、つまり「大使の夫」でしかなく、妻と一緒にイギリスに来たものの、毎日やることがなく退屈でしょうがなく、なんやかやちょっかいを出しては物事を複雑化させ、妻に迷惑を掛けるという、”邪魔キャラ”的な存在。

そんな夫婦関係が、シーズン2、そして今回のシーズン3と、大きく変化していく。
本作は国家間の緊張感を描くドラマでもありますが、個人的には、この複雑で繊細な夫婦関係の描写のほうに、より引き込まれます。

以前にも書きましたが、特に、ケリー・ラッセル演じるイギリス大使、ケイトの自然体の演技が魅力的。

ケリー・ラッセルといえば、『ミッション・インポッシブル：3』でイーサン・ハント（トム・クルーズ）の教え子の若手エージェント役が印象的で、冒頭、イーサンに救出されるも頭の中に埋め込まれた爆弾が爆発し、白目をむいて死んでしまうという、女優としては壮絶なその殉職シーンがとても印象深く記憶に残っています。

考えてみれば毎回、飾らない女性役が多く、本作でも、ヒールの高い靴は写真撮影やパーティ出席の直前にオフィスで履き替え、終わるとすぐに裸足になってしまうとか、汚れが目立たないように黒いスーツしか着ないとか、大使らしからぬ自然体の女性っぷりに、毎回とても好感が持てます。

シーズン4にも続くようで、今から楽しみです。
シーズン1、2も面白いので、未見の方は是非。

シーズン3も見応えありましたね！
外交官の立場からまた違った役割も与えられた中で、自らのキャリアを大切にしていくケイトの姿が印象的。ハルとの夫婦関係や新たな登場人物との関係など、恋愛要素が後半は多かったですが、ラストの展開には驚き…続きが気になる！

面白くて一気に見てしまった

大使と副大統領ほどのハイキャリアではなくても、仕事を持つ夫婦がお互いのキャリアを優先するタイミングを調整して、緩急つけて人生をともに歩んでいくのはよくある話だし共感できる

自己中なケイトに共感できない部分もあるけど、他にもビリー、エイドラ、大統領とクールな女性達が活躍するので楽しいし、ハルやトロウブリッジのキャラも個性的だし、国家レベルのスケールの大きい駆け引きにワクワクします

次のシーズンが待ち遠しい！