表向き、法廷の中なので淡々と進みますが、なかなか凄まじい誹謗中傷の応酬。双方の弁護士が相手はどの部分を突いてくるか、それをどう捌くかの頭脳戦を展開、見応え十分でした。どれだけ愛し合って結婚した相手でも、ここまで来ると、もう憎しみしかないんでしょう。悲しいけど、これ現実ですね。
ジョニー・デップが、妻のアンバー・ハードにＤＶを受けたと主張して始まった泥仕合。アンバーはＤＶを受け、辱められたのは自分の方だとしてデップを反訴。お互いに写真やビデオなどの証拠品を次から次へと裁判所に提出、証人も次々に召喚します。プライバシーの暴き合いみたいになって、デップの薬物、アルコール使用も明らかにされていきます。
損害賠償の請求額も天文学的な数字で一般人の興味も爆上がり、しかも日本の裁判と違い、完全生中継。デップとアンバーのののしり合いを、テレビ、新聞はもちろん、多くのユーチューバー、ティックトッカーら配信者が喜び勇んで垂れ流し、解説したり、応援したりで、完全にジョニー・デップ祭り。
ロシアがウクライナに侵攻したニュースを押さえ、ブレイキングニュースは毎日デップＶＳハードのニュース。二人のプライバシーの暴き合いは、恋愛とは、愛情とは、結婚とは、夫婦の形とは、憎しみとは、人権とは、アメリカ社会の価値観とは？を問う社会現象と化したのでした。
何かすごいものを覩てしまった感覚ですね。裁判所の空気がそのまま感じられましたし、デップ、ハード、双方の支持者の小競り合い、ＳＮＳでの拡散の仕方なんかは、ドラマ以上にドラマチックな、ブラックコメディーみたいなドキュメントでした。いやあ、素晴らしかったです。
