必見の韓国医療ドラマ ハイパーナイフ 闇の天才外科医 DVD ブルーレイ Blu-ray BOX 日本語字幕 日本語吹替版 最高だった。

パク・ウンビンさん主演最新作は医療もの、という期待しかないスリラーです。
プロットとしては『ブラックジャック』の変形版という印象ですが、師弟対決が大きな葛藤になっています。
パク・ウンビンさんが韓国ドラマシリーズ界のトップ女優であることは間違いなく、何度も驚かされてきました。
今回の激突となる師匠役がソル・ギョングさんという衝撃。
韓国トップ俳優の激突、しかも裏切りと師弟の歪みに歪んだ教え方。
一見裏切られたパク・ウンビンさんが狂っているように見えますが、後々明らかになるソル・ギョングさんの狂人ぶりも凄まじいです。
『セッション』のように狂人と狂人が共鳴した狂った世界観を描き出す作品ですね。

最初は、火病の女ブラックジャックかと思って見ていた。
でも、見続けていると、世事を一切廃した究極の愛の物語に思えてきた。
浮かんだのが、「羊たちの沈黙」と「ハンニバル」で語られた、ハンニバル・レクターとクラリス・スターリングの物語。

ただし、あくまでも、トマス・ハリスが著した小説のハンニバル・レクター三部作の話で、映画は別物です。
特に映画「ハンニバル」は、大きな原作改変があるのであくまでも小説の方。

詳細に記すには小説を読み直して細部を比較検討しなくちゃならないけど、そんな意欲はないので自分が記憶している「羊たちの沈黙」と「ハンニバル」での話。記憶錯誤はあるかも。

稀代の怪物サイコパス・レクター博士は、FBI捜査官クラリスに自分と似た資質があると確信してメンター的役割を果たすようになる。
これが「羊たちの沈黙」。

で、映画で改変された原作の「ハンニバル」の後半部分。
グロいんだけど、クラリスは薬物で朦朧としながらも、彼女を脅迫した男の脳味噌を食べたりする。
その後、二人は恋人同士になって仲むつまじく暮らす。
気色悪いけど、ラブストーリーなわけです。

「ハンニバル」を読んで、驚愕しましたよね。
その驚愕が映画を見たら怒りに変わっちゃった。めっちゃ改変している。
上に書いた原作の部分を理由にジョディ・フォスターが出演を拒んだと言われているけど、大改変したんだから出演すりゃ良かろうに。

「ハイパーナイフ」は、この究極の歪んだ愛の物語を、韓ドラで再構築したアンサードラマだと思うようになった。
制作側はそんなこと微塵も考えていないと思うけど、これはもう、自分的には確信に近い。

ただし、メンター的役割を果たしたのは、教え子であるセオクだった。
これについては、ネタバレでちょっとだけ。

最初師弟愛かと思われた「ハイパーナイフ」も、終わってみれば究極のラブストーリーだった。
人を選ぶけれど。

セオクの首筋にある蝶みたいな刺青の解釈についても、ちょっとだけ最後にネタバレで書いてみます。


















以下、ネタバレ。

セオクの首筋にある、蝶みたいなおかしな形の刺青は脳をデフォルメしたものでしょうか。

チェ教授を手術する前のセオクの刺青は右側のみに色が付いていました。左側は黒い線のみで色が入っていません。

しかし、手術後のラストシーンで、教授の足音を聞きながら笑みを浮かべたセオクの首筋の刺青は、両方とも色が入っていました。

セオクを導くつもりだったチェ教授。でも、導かれて解放されたのは教授の方でした。
セオクが具体的にメンター的な気持ちを持ったわけじゃないでしょう。彼女はただ直線的に奔放に自由に、自分の欲望の迸りをチェ教授に見せつけただけ。

そんなセオクが煩わしく疎ましかったチェ教授だけど、心の奥底ではセオクを認めて眩しいとすら思っていた。
自分の人生が残り少ないかも知れないと悟ったとき、本来の自分の姿・居場所を求める気持ちが次第に強くなった。
しかし、理性がそれを許さなかった。

こう考えれば、左の脳に色が入ったのは、チェ教授を著していると考えて間違いないでしょう。
モノクロだったチェ教授の世界がカラーになった。

もうちょっと突き詰めれば、最初から色がついていた右は「右脳」で、セオクを表していていると考えられます。
右脳は、直感、ひらめき、感情を司ると言われていますよね。これはセオクそのもの。

それならば左はチェ教授でしょう。
「左脳」は、論理的思考とか概念的な働きを司るそうで、そんな思考に縛られてモノクロだったチェ教授の世界そのものとも言えるわけです。
これが、セオクによって導かれカラーになった。

このことによって、満たされていなかったセオクの人生に色が付いた（満たされた）とも取れます。
そんなメタファーではないかと。

もっと妄想しちゃうと、モノクロの世界で苦しんでいる左脳に支配された韓国の大人たちよ解放せよ！　というメッセージまで感じ取れます。

どっちが年上だとかキャリアが長いのは誰かとか肩書きがどうとか根強い家父長制とか、いろいろと面倒そうですよね。

飛躍しすぎかも知れませんが。

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