
舞台は群馬県・ひかり市。山々に囲まれた場所に住む中学2年生の春日高男は、毎日閉塞感を感じながら生きていた。そんな彼の心を救っていたのはボードレールの詩集『惡の華』。ある日の夕方、春日が忘れ物を取りに教室に戻ると、そこには憧れのクラスメート・佐伯奈々子の体操着が落ちていた。辺りを見回した挙句に春日がとった行動、それは体操着を衝動的に盗むという過ち。しかし、教室は無人ではなかった。一部始終をクラスの問題児・仲村佐和に隠れて見られていた。翌日、秘密にする代わりに仲村からある“契約”を持ちかけられる。仲村に支配されるようになった春日は、彼女の変態的な要求に翻弄されるうちに絶望を知り、自らのアイデンティティーを崩壊させていく。意外なきっかけから佐伯と付き合うことになり、春日は恋心と背徳の自己矛盾に苛まれる。仲村と佐伯の間で揺れる春日。春日と仲村は地元の大きなお祭りで大事件を起こす…。
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