Mariko

バンド・オブ・ブラザースのMarikoのレビュー・感想・評価

バンド・オブ・ブラザース(2001年製作のドラマ)
5.0
10数年ぶりに、通しで鑑賞。
以前観た時はマイケル・ファスベンダーもアンドリュー・スコットもジェイムズ・マカヴォイもトム・ハーディも知らなかった。
そして今観ても、その彼らもEASY-companyの一員として実に目立たず(笑)溶け込んでいる。

このドラマは『新選組!』(大河ドラマ)と同じで、エピソード毎にそれぞれのキャラクターがじっくり描かれるので、観ているうちに米陸軍101空挺師団(中略)E中隊の面々を他人事とは思えない状態になってしまい、終盤に行けば行くほど胸が詰まるし、リピート鑑賞すればもう序盤から自分の身内を見るような気持ちにならざるを得ない。

どのエピソードもおもしろいし、それぞれに印象的な場面がたくさんあるけれど、強いてベストをあげるなら7話のスピアーズの無敵疾走かな。そこまでのミステリアスな存在、からの無能な指揮官のあとを引き継いでのクールな獅子奮迅っぷりに思わず立ち上がって声援を送ってしまう。爆風の中から走り出てくる姿だけでも何十回でもリピートして観たい笑。

序盤〜中盤の前線での様子のリアリティにも息を呑むけれど、この作品の白眉は最終話。戦中はもちろん、兵士の帰国後を描いた作品も多くあるけれど、WWIIでドイツ降伏後の米軍のヨーロッパ滞在中の様子をこんなに細かく描いた作品は観たことがない(私が知らないだけで、もちろん存在はするだろうと思う)。
中でも、降伏したドイツ将校が「一言いいか」と断って部下のドイツ兵に向けて「我々は生死を共にしてきた、特別な絆で結ばれた仲間である。諸君と戦えたことを誇りに思う、今後は平和な人生を」と演説をする。これを聞いていたウィンターズが、彼の言葉が自分が言いたいこととまったく同じじゃないか、と驚く様子がこの作品のクライマックス。彼も我も同じことを考えて戦っていたのか、あれは自分が共に戦ってきた兵士たちに向けて言いたい言葉だ、と。作品のタイトルが意味するところでもあり、戦争の不条理さを表してもいる。

それにしても、その後大ブレイクするのがほぼ皆イギリス系(アイルランドも含む)俳優なのが興味深い。
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