ゆうき

JIN -仁- 完結編のゆうきのネタバレレビュー・内容・結末

JIN -仁- 完結編(2011年製作のドラマ)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

原作の村上もとか作品は、どの作品も漫画でありながら文学性が高いのだけど、その一つのJINを見事にドラマとして独自にアレンジした名作。
日本のドラマ制作は、漫画原作を元にすると、その原作の良さを見事に台無しにする作品が多いけど(笑)、このJINは数少ない例外の名作ドラマ。
音楽もカメラも、何気ない台詞も全てが良い。
例えば脇役の吉沢悠が「人間の人生の価値は、長さだけなのかい?」と言った言葉はずっと心に残っている。

余談だけど、近年の日本の漫画作品は、一般的には無名作品を含めて非常にハイレベルである(実はポピュラーな作品より、青年誌系の硬派な作品がハイレベルな印象)。
そのドラマ性・人間心理の描写等は現代小説や映画、そして実は韓流ドラマを完全に凌駕しているけど、漫画という先入観、レッテルや、中には表現手段が下手な作品があり損をしてるなという感想。

このJIN作者の村上もとか氏は過去に複数代表作を出してる実力派なので表現も巧みで上手いが。
話が脱線してすみません。

このJINは、前作と引き続き名作であり、主人公の南方仁が前回と同様に、本心では元の世界に帰りたい気持ちがあるけれど、しかし前作と違って江戸の世界の人間関係に慣れてきている点を、大沢たかおの演技が、それをさりげなく上手に表現していると思う。

後半は少し駆け足な展開だけど(例えば佐藤隆太の最後の方の扱いとか。笑)しかしどの回も人間ドラマがあり、本当に上質な作品。


最後に南方仁が現代世界に戻って、そして初回と同じ、タイムスリップした日と同じ夜の時刻と階段を登って、そして心から江戸に戻りたいと願っていたのは、もちろん咲さんの病気を治したい気持ちが第一と思うけど、
しかし最初はあんなに嫌がっていた江戸の世界でこれまで数多くの人と接して、苦労しながら同僚や患者と沢山の信頼関係を築いた情もあったと思う。

タイムスリップに失敗して、階段の上で気力と体力が尽きて崩れ落ちる南方先生の姿が、名作映画のワンシーンのように心に残った。
ゆうき

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