ことりちゃん

チャンネルはそのまま!のことりちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

チャンネルはそのまま!(2019年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1話を観た時点では、変わった演出の地方ドラマぐらいの印象しかありませんでした。水曜どうでしょう好きの私でも苦笑いするぐらいに藤村さんが出てきますしね 笑
2~4話は花子中心に同期をメインキャラクターとしてテレビ局の各部署にスポットが当たります。大泉洋さん演じる蒲原さんもちょくちょく伏線として種を撒いていきますが、それ以降あまり進展がない為「本当に回収できる…?」と不安になってきます。
けれど第5話でそれが全て覆されました。
おバカ枠と言われた花子の純粋さで真っ直ぐに蒲原と向き合う姿勢、大型ドラマ枠を蹴ってまでマスターカットを決意する編成判断、スポンサーに頭を下げる覚悟を決める営業部、起こっている事実を的確に、正確に、迅速に伝えるべく奔走する記者とアナウンサー、そしてそれら全てを管制官のように監視するマスター、危機迫った状況にきてやっと、1~4話でテレビ局で働く彼らをじっくり過ぎるほど紹介した意味が分かりました。

そして蒲原さんが助成金の不正使用で捕まったというこの題材。
よく見る展開だと、大体本人が極悪人で周りを騙していた事を暴くか、悪人に見えたけれど実は不正使用なんてしてなかったんだよ、のどちらかかなと思います。

けれどこの作品では、
彼は火の車だった事業が認められ国から突然多額の助成金を受け気が大きくなって不正使用をしてしまう、
そんな現実世界のどこにでもある人の弱さをありのまま表現し、それを報道として伝える所に重きを置いていました。

何よりやはり大泉洋さんの
多額の金と名声とコンプレックスに歪んだ弱い人を演じる巧さが刺さりました。
恐らく5分以上の長尺の台詞を、彼はぽつぽつと語り始め最後に涙を流し謝罪するところまで、途切れなく駆け抜けます。号泣必至のシーンです。

たった5話の地方局ドラマでこれだけのキャストを集め、心から楽しく泣けるドラマは昨今あまり見かけません。
ひぐまテレビとの抗争ももっと見てみたいですし、不可能とは思いつつも連ドラとしてもっと見てみたいと思いました。

個人的には、蒲原を逮捕する刑事役が戸次さんな所に制作陣の愛を感じました 笑