ゼロ

ベター・コール・ソウル シーズン6のゼロのレビュー・感想・評価

4.8
さらば、ソウル。

本編・ブレイキング・バッドの6年前を描くスピンオフも今シーズンで最後。2015年からソウル・グッドマンを主役に描いており、足掛け7年となった今シーズンは全13話。ブレイキング・バッドの前、ブレイキング・バッドの本編、ブレイキング・バッド後の3つを描いており、完膚なきまでにブレイキング・バッド・サーガを完結させました。

前日譚であるという性質があるので、ベター・コール・ソウルオリジナルであるラロやナチョやハワードは、前半の最終話である7話までに退場しています。特にラロやナチョは、ガスやマイク側のカルテルの話であり、逃亡劇は面白くありました。

後半は、ブレイキング・バッドとソウル・グッドマンが交わり、ソウル・グッドマンのその後をモノクロ調で描かれています。結局、彼は、罪と後悔を背負いながら生きることを選択する素晴らしいビターな終わり方で幕を閉じました。

本編の主人公であるウォルター・ホワイトに比べると、本作のソウル・グッドマンは、虚構の様な狂言回しをし続けたキャラクターでした。ずっと嘘をついていて、芯となるものがないため、愛情をくれたキムに出会っても、上司として評価をしたハワードにしても、最後まで本気で向き合わなかった。

作中で、ハワードがジミーのことを理解しているのはチャックだけ…と口にしていたが、正にそうだった。大犯罪をして絶体絶命にならないと、自らの仮面を捨て、ジェイムズ・"ジミー"・マッギルとして、人前に立つことはできなかった。

ずっと、劣等感を抱いて生きた道化師の物語でした。

地味な物語ではありましたが、人間ドラマを丁寧に描き、OPでビデオがぶっ壊れたような演出など人を惹きつける演出があり、最後までに濃厚で、重厚な物語を観ることができました。

良い物語でした。
ゼロ

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