アキヒロ

ベター・コール・ソウル シーズン6のアキヒロのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ついに出た。5.0が出てしまった。ドラマでも映画でも初。

毎週毎週、見ては打ちひしがれ、安眠もできなかった。張り詰められたサスペンスの中で、人間が何かを決断する。それは必然なのか、それは変えられるのか、それは救われるのか。最後の4エピソード。通り過ぎた人たちは、各々自分を変えたのか、変えられたのか、変わらないのか。

ラロがソウルとキムの家に入り込んだところ、およびそのエピソードが、映像作品としてのハイライトの1つ。品格がありすぎる。久しぶりに画面の前で声を出してしまった。風とロウソクの火の演出。そうか、これが演出か! この世にはどうしようもない絶対的なものがあるのだ。

しかし、それを先読みしていたガスへも、恐れおののいた。このシリーズは(最後の4エピソードを除いて)『ブレイキング・バッド』の前日譚。登場人物たちがいかにして『ブレイキング・バッド』でのあの姿になったのかがわかるものなのだが、これを伏線回収ものと思うのなら、そんな奴はとんでもないバカ。「そういうことだったのか!」ではなく、人物たちの深淵に迫ることで、『ベター・コール・ソウル』と『ブレイキング・バッド』を通じての「人の変わらなさ」「変えたくても変わらない様」「なんとか変わろうとする姿」「万が一変わるとき」が描かれている。長いドラマであり、(ベター・コール・ソウルは特に)長い映画でもあった。

振り返れば(というかこれまでのシーズン中にも思っていたが)、ジミー(ソウル)がやっていたことって、そこまでズルいようには見えなかった(でもまあ軽薄だと思うし、金に執着しすぎだとは思う)。結果的には弱者をサポートしており、彼の中には誰かを弁護することに喜びと活路を見出していたようにも思う。その弁護が自分に向いたとき、決定的なクライマックスがやってきたのだ。自分が大切にする人のための、そして将来の自分を誠実に捉えての弁護。ジミーによるジミーへの弁護。数日経ってジワジワと受け入れることができ、安眠できるようになった。

間違いなくドラマシリーズの最高到達点。何度見ても最高だろうが、まだ見てない人が羨ましい。これを超えるものは生涯出てくるのか。まあ、出てくるやろ。


こんなにも「克服すべき受難に満ちた祝福」をありがとう、ジミー、キム、ウォルター、ジェシー。俺達はやるよ。
アキヒロ

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