アキヒロ

FARGO/ファーゴ シーズン3のアキヒロのレビュー・感想・評価

FARGO/ファーゴ シーズン3(2017年製作のドラマ)
4.7
4も見たうえでだけど、このシーズンが1番面白い。もはや形骸化していたとも言えるあのお決まりの冒頭のテロップがここまで幅を持つ世界になるとは。こんなことになるとはよもや映画『ファーゴ』のときにはコーエン兄弟も思ってなかったかもしれないが、計らずも後の時代でリンクしてしまうのは優れた作家の宿命か。ノア・ホーリーも見事だと思うけど。

マジで良い意味で気持ち悪いテイストは残しつつ、冒頭テロップに真正面から挑んだ今回のシーズン3。何が真実で何が作られた真実なのか。(一応見た感じ)善良な人間とそうでない人間が与えられた情報で右往左往するのは、真相を見せられている視聴者の立場から見ると、かなりエキサイティングで、かつ揺さぶられるものがある。身の回りのヴァーガとは一体何なのか。2016年以降のアメリカドラマとしてタイムリーであるのはもちろんのこと、1ドラマとしてうかうか見ることのできないものだと思う。

キャラクター的にもヴァーガのマジで良い意味での気色悪さはもちろんのこと、ニッキーの歯切れのよい格好良さ、フェルツの不運さ、迷えるグロリアの誠実さなどそれぞれがMVP級。もちろんエミット&レイも。果たして誰がために自分は動いているのかを意識したときに最もそれぞれが躍動していたと思う。もちろんヴァーガは除いて。

そしてボウリング場で急に観念的な世界に入る緩急もまた気持ち悪くて良い。急にチェンジアップ投げられた気分。とにかく視聴者をまともな状態にさせないような映像とストーリーの連続であり、掴んだようで掴んでないような、とにかく揺さぶりにかかるドラマ。評判がそんなに良くないという話も聞くけど、何をどう考えてもドラマシリーズにおいて傑作だと思う。本当に気持ち悪くて最高!
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