まめまめちゃん

この世の果てのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

この世の果て(1994年製作のドラマ)
3.6
リアタイで見ていた時は「ピアノしかできない人」みたいな人は特殊だと思っていたものだったが、
仕事以外何もできない男が世の中ほとんどなんやなと知ったのはそのしばらく後だったな。なかなかな衝撃よね。まそれは置いといて。

リアタイ当時は毎話毎話事件だらけであり得ない設定なのに毎回泣けてたし、EDも映像のなぜだかブレードランナー2049みたいな茫漠とした風景に想起させる「この世の果て」感とストーリーの強引さが他の野島伸司作品より若干滑らかで好きだった。ずっともう一度見たいなあと思っていたドラマだったのだが、今となって見るとかなり印象が違ってしまった。

「ピアノしかない人」である男のこのドラマで行われる唯一の心理テストの答えにシンパシーを感じた主人公まりあ。やがてその男と暮らし恋仲となる。まりあの妹はとある事件で全盲。母親は男とお金にだらしない。諸々でお金が必要なまりあは昼は郵便局、夜はホステスとして働きまくる。変な女に横槍入れられDVされるも男を救い出すその献身ぶり、まさに「マリア」様である。

しかし超金持ちな社長で婚活ばかりしてるトヨエツ(役名忘れた)が言うところの、まりあが「自分が思っているよりずっと良い女」なのが正直よくわからなかった。決して丁寧とは言えない言葉遣いで、大してお行儀がいいわけでもなく、どこでもどんな場面でもタバコを吸うが、あんなヒモ男への依存と自己犠牲の精神がそんなに美しいか。なんならアレは子育てに近いもんがあるがギャップ萌えなのか。あの時代の「マリア」様なのか。

それにしても最後まで、指摘されるまでまりあの愛情と献身に気づけないクズ(というかバカ?)男を三上博史にやらせた月9、尖ってたな。横山めぐみのマウント合戦、トヨエツの微妙な表情の変化、上手かったなあ。鈴木保奈美とか桜井幸子みたいな、いるだけで主役!なキャストの物語をちゃんと支えてたと思う。

某局チャリティー番組サゲはあからさま過ぎて笑えたけども、溺れそうな人を確実に助けるのは浮き輪などの道具であって、自己犠牲ではないと私は思ってる(でも自分の子供がそこで溺れてたら飛び込むんだろうな)。それと介護や移植の諸々は全く違う話なのである。