SAKUMATHENERD

アトランタ シーズン3のSAKUMATHENERDのレビュー・感想・評価

アトランタ シーズン3(2022年製作のドラマ)
4.2
Hip Hopヘッズとして切望していた新シーズン。
いつのまにかディズニープラスにて配信されているじゃないですか、気付かなかった〜

さすがチャイルディッシュ・ガンビーノ/ドナルド・グローバーと言うべきか、シビアな黒人差別問題をここまで俯瞰的かつシュールにしかしどこか切なく風刺が効いた鋭さで描くことができるのは、彼にしかできないバランスではないか。

シーズン3は主要キャラクター(ペーパーボーイ、アーン、ダリウス、ヴァネッサ)の物語は少なめで、より短編集の印象が強い。リアルの役者陣の売れっ子ぶりも反映されているのかラッパー/ペーパーボーイは欧州ツアーを敢行するほど成功しており、舞台もアトランタを離れヨーロッパメインとなっている。

特に今作は話によって視点が変わるのが興味深い。特に先祖が黒人奴隷のオーナーだった故に凸られる白人の話である4話と
黒人が理事長で黒人だけに奨学金を渡す高校での白人高校生が暴動を起こす話である9話など、
BLMの再熱以降立場逆転がする世界線を観ているようでこれらの話が黒人サイドであるガンビーノから描かれるのがより一層興味深い。

1番印象深いのは先程の4話。
ある登場人物の「彼らにとって生活だが、私たちにとって黒人文化は好奇心でしかない」というセリフが私のような黒人ではないがブラックカルチャーをありたがっている観客を直接刺しにきている。どれだけHip Hopやブラックカルチャーが好きでも一生"好奇心"の域をでることがないと思うと侘しい。突き放され虚無感を感じたがそれを言われたら元も子もない!オチも含めてなかなかに皮肉めいていて、好きです。
SAKUMATHENERD

SAKUMATHENERD