Larx0517

暗号探偵クラブ~女たちの殺人捜査~/ブレッチリー・サークル シーズン1のLarx0517のレビュー・感想・評価

3.6
これぞBBCドラマ真骨頂。
地味であるほど面白い。
地味=退屈ではないことを証明している。
スター俳優が出ていない。
これで内容で勝負していることの証明。

そしてBBCドラマは裏切らない。
これまた地味な女性4人。
大戦中の暗号解読班の4人組が、再結成して殺人事件を「解読」する。
映画『イミテーションゲーム』を思い出した人もいるはず。

序破急とテンポよく3話で完結。
失敗しながらも、4人それぞれの個性を発揮して、犯人を追い詰めてゆく。派手なアクションはなくても、気づけばグイグイ引き込まれてゆく。

一方、全体を通して随所で描かれる、この時代の社会のなかでの女性たちの立場。
凄惨な状況で殺される被害者たち、そして探偵たちも女性。
犯人、そして話を聞こうともせず、役にたたない警察も男性(社会)。
時代とはいえ、警察にいわゆる婦人警官がいないのも、その対比を際立たせている。
暗号班も女性のみで、男性たちと女性たちは文字通り「住む場所」が違う。

個人レベルで、「一緒に住む」家庭。
その家庭でさえ、「美しい誤解」をする善良な夫ティモシーにさえ告白できない妻スーザン。
それどころか、その事実を伝えると男性副総監から脅される。
では戦時中の大切な任務したこと、「女だてらに」間違った方向に突き進む警察に代わって捜査することは、女性にとって「隠すべき」恥ずかしいことなのだろうか?

「当時は違っていた」と言えるほど現在とかけ離れているなら、この話が身につまされるほど悲痛なものには見えないだろう。

社会的メッセージを織り込みながらも、サスペンスとして一級のエンターテイメントに仕立てたのはさすが。


全く個人的な感想。
もちろん時代考証はされての上だろうが。
スーザンのコートの肩パッドが肩にさえかからないくらい大きい。
さらにショルダーストラップをかけると、さらに強調されるのが気になって仕方なかった。
Larx0517

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