これぞ”モース”クオリティ。
派手なアクション、猟奇的殺人、奇抜な当時人物なしで、1時間30分”目撃者”の視線を逸らせない。
事件と人間ドラマを絶妙なバランスをとりながら、緊張の糸を切らさない。
「すべては変わる」
巡査部長になり、モースに部下がつく。
ジョアンナが街に帰ってくる。
「見るだけで
手は触れない主義なんでしょ」
「欲しいものを
外から眺めてるだけ」
昇進はしても、自分の感情の扱いには慣れない。
「これ以上は無理
君が来て」
本当に欲しいものには近づけず、”かりそめ”で心の穴を束の間埋める。
「いつもどおり You know me
軽いつきあいさ easy come,easy go」
束の間とはいえ、e4で、モースのあどけない笑顔を久しぶりに見ることができる。
その笑顔も、はかなくしぼむ。
4話56:11
傷つき、無理やり笑顔になるまでのショーン・エヴァンスの瞳の演技が、あまりにせつない。
「悲しみに溺れる?」
「少し浸るだけ
悲しみの醍醐味だろ」
映画並みの粒揃いの”モース”クオリティ。
緊張の糸を切らさず、心の琴線に触れる。
“モース”クオリティを語る上で欠かせないのは、2019年に65歳で亡くなった、オーストラリア人バリントン・フェロングが手掛けるエンディングテーマ。
“目撃者”の心の水面に波紋を広げるように、余韻をたなびかせる。