ぼっちザうぉっちゃー

全裸監督のぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

全裸監督(2018年製作のドラマ)
4.3
想像以上の面白さに驚き。
ちょっと変わった一人のAV監督の話かと思ってたけど、それどころかもはやエロの始祖ぐらいの偉業を残してて、手を合わせたくなる思いです。
波乱万丈とはまさにこのことと言うような激動の人生。どこまで事実に忠実なのかは分からないけれど、しっかり群像劇としてもめちゃ面白かった。
パーリー感ある洋楽BGMと昭和ならではのコントみたいな派手さもゴージャスですごく楽しい。

本からビデオへとエロのステージが移るとともに、開拓から革命へパイオニアからチャレンジャーへ、と終始動くことを止めない村西のアグレッシブさがとにかくワクワク痛快。
リリー・フランキーはじめ満島真之介や玉山鉄二など、周りの登場人物もしっかりキャラが立っていたのもすごく良くて、性欲の表と裏、自由と秩序のバランス、内容が内容だけに常に規制と抑圧の逆風が吹く業界の強かでグレーな攻防に、見応えたっぷりのドラマを生んでいた。
そしてまさか駅弁にあんな誕生秘話があったとは。
何かアイデアが下の方から湧いてくる愉しさと、エロスを頭で理解する快感も得られた気がする。良いものを作ろうとする熱量はやはりそれだけで価値がある。

黒木香演じる森田望智の演技にはただただ脱帽。ただ脱いだからではなく、紛れもない演技力によって付く箔というものを目撃できた。素直に勃起した。賞賛したい。
そして村西と黒木香の出会いによる化学反応なんかはもう差し詰めエロ界隈のアダムとイブのようで、まさしくビッグバン級のとんでもない出来事だったのだなと実感した。プラトニックじゃなくとも、骨の髄までフィジカルな「それ」はある種、ただプラトニックなのよりもはるかにピュアなもののようも感じられた。

幾人か見知った女優さんもいて、特に個人的に演技力推してた川上奈々美が出てたのは嬉しくて、全然お門違いだけどなぜだか報われた気がした。