トケグチアワユキ

フルーツ宅配便のトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

フルーツ宅配便(2019年製作のドラマ)
4.8
派遣型風俗業の送迎を舞台に、各話ひとりの女性に焦点を当てたストーリーで、さまざまな人生を見せてくれる。

なんと言っても、監督が白石一彌と沖田修一という実力派揃い。

各話のゲスト俳優も演技力の高いひとばかりで、ゴールデン/プライム帯には遠く及ばない予算で、深夜帯にしかできない内容ながら、圧倒的に観ごたえのある名作シリーズを提示してくれた。
毎週、次の放送が待ち遠しくてたまらなかった。
仲里依紗や中村ゆり、阿部純子もモチロンいいに決まってんだけど、この手の作品には珍しい松本若菜なんかもそれはそれで味わい深い。

たとえば何だか見当もつかない仕事(わかってるけどわからないフリさせてね!!)してタワマンに住んでるエグゼクティヴの、ゴールデン/プライム帯のラヴコメ(逃げ恥をdisってるわけではない)より地続きな分、私にはインパクトが強い。

引き合いに出して申し訳ないほどの名作なのは承知で、「逃げ恥」はラヴコメ部分をすっかり忘れちゃって、社会に対する女性もやもやドラマの記憶しかない(ちょっとウソ)し、映像の記憶が皆無(これはホント)だけど、このドラマは観かえすまでもなく映像がフラッシュバックしてくる。
筧美和子の打算しかない仁義なしオンナに、それもありだよなぁと共感する、倫理観のカケラもない自分を私は認めたい。
心の底から大好きなドラマシリーズ。

こういう作風のドラマって、テレ東以外ほとんど手ぇ出せないのを考えると、局の編成という仕事のベクトルが透けて見えてくる。
まあ、選択肢があるだけのことだから、こっちで選べばいいんだけど。
ネットフリックスの独壇場にしないためにも、テレ東にはぜひがんばっていただきたい。