不運にも、2020年東京オリンピックに国民が沸き立つ中、放送予定だった今作の朝ドラ。昭和39年東京オリンピック開会式のオープニングを手がけた作曲家の話であることからも、それを意識していたことは明らかである。
思いもよらぬコロナという未知のウイルスに世界は揺れ、感染拡大懸念のため収録は滞り、それに伴い放送は約3ヶ月ほど休止となった。その最中に、出演中の志村けんさんがコロナでお亡くなりになり、日本中が悲しみに包まれたことは記憶にも新しい。
そんな災厄に見舞われながらも、音楽で人々を元気づけたいというエールは真っ直ぐ視聴者に届いたのではないだろうか。社会とメッセージがこんなにも直結するドラマも稀で、だからこそ胸に響くものがあった。良いものを見せてもらった。
また音楽がテーマということで、様々なジャンルの歌手が数多く出演していたのだが、中でも主演である二階堂ふみの歌唱力の上達ぶりには目を見張る。元々、合唱部らしく歌は上手いのだが、それでもプロに比べれば当然見劣りする。それが回を増すごとにメキメキ腕を上げ、話の内容とはズレるけど、その努力の跡を見て取れるところも、すごく良かった。相当頑張ったんだと思う。
余談ですが、そんなキャスト達が出揃った、その年の紅白歌合戦は、コロナのため無観客でありながらも、涙が出るほどに感動し忘れられないものとなった。
