む

チェルノブイリのむのレビュー・感想・評価

チェルノブイリ(2019年製作のドラマ)
5.0
チェルノブイリ原発であの日何があったのか。
僕らは、「真実を知りたい」という建前を使って、この事件で暇を弄んでいるのかもしれない。
だけどここには、人間という生物の本質が刻まれていて、暇な時間は意味ある時間になっていく。

権力、保身や傲慢、被害を最小限に抑えようと奔走する善意。
どれも全て人間という生物の特性そのものであって、正義とか悪とかで白黒つけられる綺麗なものではなく、もっと生々しいものだ(もはや正義や悪は抽象的だと気づく)

僕ら人間の中にあるそんな生々しいものと向き合おうとすれば気が狂うかもしれないから、日々俯瞰して人生を見つめることが大切なのかもしれない。


5話まで観終えてから、もう一度1話を観れば事件の解像度は鮮明になってくる。
1話を初めて観た時は、当時事件の現場にいた人達と同じで、全容が全く掴めなかった。
だけど、複雑に見えて、真実を辿れば事件は至ってシンプル。
起こるべくして起こっていて、順当に最悪へと向かう。抗えない。進むしかない。

博士が録音した独白のカセットテープは、6本あった。
全5話のドラマで、1話の最初に6本目を録音している。もう一度1話目を観ることに意味がある気がする。
む