桃色

みをつくし料理帖スペシャルの桃色のレビュー・感想・評価

みをつくし料理帖スペシャル(2019年製作のドラマ)
4.4
当時、オンタイムで観たNHKドラマ。
先日2020年角川映画の「みをつくし料理帖」を観た余韻で書いてます。
どちらもすごく好き。でも切ないです。

前作の「みをつくし料理帖」を観ないままこれだけ見ると消化不良になりますね。だけど、これを観たら前作を観たくなること必至なので結局はどちらも観ることになるんでしょう。
前編のサブタイトルの「心星ひとつ」原作では6冊目です。それだけ聞いても原作を知る人は涙が出るかもしれません。

浪人風情で現れずっと澪と心を通わせる小松原は実は旗本の小野寺であることは視聴者は知ってます。当時は孤児で一介の町娘の澪と大きな身分の差があって乗り超えられない壁がある。そんな中で周りが動き出します。
これ、小野寺の母君の具合が良くなくて彼女の生きてるうちにっていう優しさから動き出したことなんですよね。でも、本人の小松原は蚊帳の外で全く気づいていない。だから澪は小松原の本心が聴きたくてそこに焦れるわけです。ここまでは恋の成就なるかとワクワクで観る方も一緒にドキドキしました。そして告白のシーン。いやぁ〜良かったなぁ!
「俺の女房どのにならんか?」
どのが付いてるんですよ! これ、大事にするよって付いてる「どの」なんだよね。嬉しいのになんだか涙が出ちゃいます。森山未來さんの真剣な眼差しとか顔を覆う澪の仕草とか本当に素敵で素敵でドキドキしました。

ここで終わって欲しい… 原作を知っいるからこそそう思います。

澪の縁談のお祝いに雨の夜に現れた源斉先生。ずっと彼の澪に対する恋心も見ている私は知っています。このシーンも本当に良かったなぁ。忘れた傘を持って追いかける澪を濡れないように差し出された傘とね。
「食は人の天なり」そして「心星ひとつ」どちらも源斉先生の言葉です。
澪が生きる標となる人物ですが、演じている永山絢斗くんがほんと切なく演じてくれました。ここでも泣いちゃう。

さてさて、まだ前編なのにここまで語ってしましました。でも後ひとつ、どうしようもなく切なくて苦しいほどの涙はこの後襲ってきます。
そう、澪は「心星」を見つけそれを目指すことを決めた早朝のお別れのシーン。
森山さんのあの眼差しすごいんですよ。そして天を仰ぐ姿。動く喉仏。
そして柘植の櫛を澪の髪に挿します。ああ、この遠慮がちに閉じていく時間がみんなみんなとても綺麗だったですよ。ああ、今書いてても泣けます。

このあとの始末も切なくて、ストーリーは他にもたくさんあるんだけど、私的にはもうここだけがこのスペシャルの全部を持って行っちゃいました。
何度も言いますが原作を読んでいるので結末も知ってたのにね。
黒木華ちゃんと森山未來さんの2人に本当に感謝です。

この先まだこのシリーズが続くのかどうかはわかりませんが、ここで終わってもいいよね。きっと澪は野江ちゃんを見受けするだろうと「雲外蒼天」の占いから誰でもわかるから。

相変わらずレビューといいうよりはひとり余韻に浸ってしまいました!
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