ふじこ

アンビリーバブル たった1つの真実のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

これが実際の事件に着想を得たドラマと言うのが本当にすごい。
こういうのをたまに出してくるからNetflixをやめられない。

レイプ被害を訴えた10代の少女マリーが、事件直後に何度も何度も同じ被害の状況を証言させられ、事件そのものや繰り返し思い出させられる被害の記憶に動揺してしまい、曖昧な事を言ってしまったが為に刑事に信じて貰えず、撤回させられた上にその後偽証罪で訴えられてしまう。

もう一つのストーリーラインが、遠い州に住む女性刑事がまた更に別の場所のレイプ事件との同一性に気が付き、もう一人の女性刑事と共に捜査を始める。物証があっても遅々として進まない捜査に苛立ちながらも地道に頑張る二人の刑事が格好良くてよかった。

事件直後から最初に現着した男性警官、次に来た男性刑事、検査しに行った病院、証言書…記憶が薄れる前にとか、何度か話す内に新しい側面や記憶が、と言う理屈は分かるんだけれども、余りにも配慮がなさすぎる上に、混乱や動揺を"嘘を付いているから"なんて決められてしまっては本当にどうしようもない。
更にマリーは小さな頃から養女として色々な家庭を転々としていて、"絶対的に信頼できる大人"の存在が何処にもないのが本当に心細いだろうと観ていて悲しかった。実際養母の一人は、注目を集めたがる性分 としてマリーの事件を暗に嘘をついていると刑事に話したりもする。
そうして証言を撤回させられたマリーは、仕事も住む場所も友人も全て失ってしまう。こんな事になる前に、彼女に適切なケアがあれば良かったのに…特に親身になってくれていた黒人の友人は可哀想だったなぁ…。

ラスト1話が特に良かった。何とか犯人の逮捕に漕ぎ着け、マリーは州から和解金を手にする。
彼女に証言を嘘だと言うように仕向けた男性刑事が本当に心から後悔し、マリーへの謝罪をする所は印象深かったなぁ…。許す事は出来ないだろうけれども謝罪を受け入れながら、"次はちゃんとやって"と言える彼女の強さが素晴らしかった。後ろに立ってたもう一人の刑事の心にも響いていたら良い。

そして尽力した女性刑事へ海辺から電話をする。
希望も生きる気力も失くしてしまったけれど、遠い場所で知らない誰かが自分の為に努力してくれていた事が、犯人逮捕より和解金より何より嬉しかった、私を立ち直らせた事を伝えたい、本当にありがとう、と。

とても酷い目に遭ったけれども、最後は一抹の爽やかさすらある終わり方で本当に良かった。
マリーも、そして毎日犯罪に立ち向かい続ける刑事達も、死ぬまで人生が続く訳で、より良い人生を歩めるように祈ってしまうよいドラマだった。
ふじこ

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