Blue

ファウンデーション シーズン1のBlueのレビュー・感想・評価

4.5
1話目、2話目はドラマというより映画でしたね。IMAXで2話同時上映しても全然金を払って行くっていうくらい迫力がありました。

SF御三家の1人アイザックアシモフ原作、銀河帝国の興亡/ファウンデーションをドラマ化したもの。誰それに影響を与えたとか、それで作品を評価したくないですが、この小説に至っては映画、経済、下手したら世界情勢にまで影響を与えています。
名前は書きませんが、この小説に出てくるハリーセルダンに多大なる影響を受けたと報告があるいくつかのカルト教団もあります。
太平洋戦争中に書かれたこの小説は、歴史心理学によって未来がわかるというものです。数学的モデルを構築してそこから未来を占い、銀河帝国が滅びると予測します。
例えば選挙をした時に、出口調査ですぐに当選/落選がわかったりします。
全員の話を聞かずに当選とか出すのはおかしいと思う人もいる思いますが、わかりやすくいうならば味噌汁の味を確かめるために少し飲むだけで全体の味がわかるのと同じというか。

統計学とは全く違うんですが、天気も湿気や乾燥によって台風、爆弾低気圧など天候がわかり、一週間の天気も精度は低いにせよ予測が立てられたりします。人口など分母そのものが大きくなるとどのようにうごめくのか、それがわかるのではないか、というのが歴史心理学なんですね。

これに影響を受けた代表的な学者の1人がノーベル賞を受賞している経済学者ポールクルーグマンです。ハリーセルダンの歴史心理学という数学モデルの構築からみる世界観に影響を受けて経済学者になった話は有名ですし、経済学者はこの本を読んでる人は多いとは言われています。
イーロンマスクもファウンデーションが好きだと公言してますし、なによりAppleのスティーブ・ジョブスがその影響を受けた人なのかもしれません。iPhoneはデータ収集には最適なツールともいえるし、ファウンデーションの影響は大きいと思います。
そして映画では風の谷のナウシカの宮崎駿、ジョージルーカスのスターウォーズの帝国軍はここからきてるし、duneの世界観もまさにこのファウンデーションから着想を得てるのは間違いないわけです。
オサマビンラディンの率いるテロ組織、アルカイダ/基礎という命名は、このファウンデーション/基礎からきていると言われています。このドラマの第一話はまさにその展開があるけど、ついに映像化する日がきたのだな、とあの時の事を思い出しながら見ました。そして圧倒的な迫力でテレビ画面に釘付けになりました。

このようにドラマ本編の感想よりも影響下にある事ばかり羅列して書いてきましたが、この作品をAppleがなぜ権利を獲得したのか、そしてどれだけ力を入れているかがわかると思います。本当に最初から多額の費用をかけて制作してることがわかります。アシモフ自身は女性蔑視があったことが有名ですので、このドラマを見る前は果たしてどう見たらいいかなと思ったりしましたが、女性の活躍が強調されることでアシモフに対しても今はこういう時代なので、と突っぱねてる感じがとても良かった。
小説通りではなく現代の倫理観と照らし合わせながら解釈を変えてストーリーが進みますが、とても面白かった。それもこの小説の根底にあるテーマ性が解釈を変えても揺るがないからだと思いました。シーズン2が待ち遠しいですね。その時に小説とドラマの違いも説明できたらなんて思っています。

duneの映画を見て好きになった人や宮崎駿ファンに強くオススメです
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