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殺し屋たちの店のBlueのレビュー・感想・評価

殺し屋たちの店(2024年製作のドラマ)
5.0
10分でいい。第一話の最初の10分だけでいいから見て欲しい。

とにかくあの手この手で男どもが命をとりに来る様は、ハラハラしながら見るクライムサスペンスとしても100点な出来であると同時に、その裏に隠された社会風刺もされてるところに見ながらうなってしまいました。
ま、最終2話に関してはちょっと失速したかなと思ったりしたけど、シーズン2のさらなる面白さを考えると許せる範囲かなと思います。
個人的な望みで言えばできればこれ以上サイコサスペンスにはしてもらいたくないかな。

ワンシチュエーションだけど徹底的に考えられて作られてるのがわかります。
高い橋の上から見下ろし狙撃しようとする様は、血生臭い競争の上で成り立つ男性社会と女性の関係をあらわしているのだろうし、地下に行けば行くだけチョンジンマンの心理を覗きこむような、底には武器が整理されて荒れた人生である事、何もわからないまま脅迫され右往左往するチョンジアンは、社会と個人の関係にも見える。
音楽も素晴らしく、トレントレズナーが音楽をやっているのか?と思う人もいるだろうし、とても効果的でそこも高評価です。

Netflixでミシェルヨー主演のアフターサンというドラマが配信されていて、形も質も違えど暗殺集団が襲ってくるのはこのドラマと共通する点ですが、完全にこちらの方に軍配が上がる内容だと思いました。
昨年のムービングといい、この殺し屋たちの店といい、群を抜いてアメリカやヨーロッパの作品と対等どころか、突き抜けた面白さと深みがあるし、エンタメ作品として最高得点に近い作品をこの二月の段階で叩き出した時点で、このあと配信される同じ系統/ジャンルのドラマが少し可哀想な気すらします。
韓国ドラマにはアイドル的ドラマもあったりしてなかなかひとくくりには出来ないけど、脚本、演出、音楽に演技と、とても質の高さに驚かせる。
ちょっとやそっとじゃ倒れない韓国文化の強さを感じるドラマの一本でした。
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