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世にも奇妙な物語’20秋の特別編のtetsuのレビュー・感想・評価

3.8
広瀬すず主演エピソードの予告に、惹かれる部分があったので、久しぶりに鑑賞。

[概要]
今年で放送30周年を迎えた人気オムニバスドラマの最新作。
奇妙な出来事に巻き込まれた人々の4編の物語。

[感想]
番組そのものが映画化されたり、人気作品が映画化*されていた全盛期と比べると、なんとも、ネタ切れ感を抱かずにはいられなかった近年の『世にも』
*『友子の場合』、『NIGHT HEAD』などがある。

しかし、今回は30周年を迎えた節目の年であることも影響してか、力の入った作品が多く、楽しめた。

ただ、本音を言うと、昨今のインディーズ邦画界では活躍している若手映画作家が多いため、このあたりに監督をしていただきたいという気持ちは募ったけれど。(スケジュール調整、キャスティングの問題などが大変だとは思うが……。)


[各話感想]

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『コインランドリー』
☆×3.6

[出演者]
濱田岳、岡崎紗絵、コロッケ

[あらすじ]
偶然、立ち寄ったコインランドリーで、「欲しいものが何でも手に入る」不思議な洗濯機を発見したフリーター・橋本。しかし、その機会には、ある秘密があって……。

[感想]
良くも悪くも『世にも奇妙な物語』らしかった佳作。
作品のアイデアや、美女を召喚していく馬鹿馬鹿しい展開(これには、過去の傑作エピソード『美女缶』を彷彿とさせられる)が良かっただけに、話の粗が目立ってしまったのは残念。
謎の清掃員の言葉や、ヒロインの存在に、若干のちぐはぐさを感じていたため、原作を読んでみると、案の定、それらが改変点だったことが分かり、納得。
ヒロインの登場や、ビジュアル的なインパクトなど、TVゆえの制約もあったのだとは思うが、原作の方が無駄のないストーリーだったため、脚色力の問題かなと……。

参考
ロッカールーム - 鈴木祐斗 | 少年ジャンプ+
https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156687311993
(こちらが原作。web版『ジャンプ』の読み切り作品なので、無料で読めます。)

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『タテモトマサコ』
☆×4.0

[出演者]
大竹しのぶ、成海璃子

[あらすじ]
突然の不審死で恋人を失ってしまったOL・楓。その死因に、同じ職場の館本雅子が関わっていることを知った彼女は……。

[感想]

オフィスビルの入り口で血だまりの死体が倒れているシュールな冒頭に違和感があったものの、以降、よりクレイジーな展開になっていくため、それすらも世界観として取り込まれてしまう潔さ。

限られた尺を見事に利用した大胆な時系列省略や、突然、首をロープにくくりつける登場人物なども見事で、往年の「世にも」の名作を思い出す不条理劇の傑作だった。

「タテモトマサコ」という奇怪な存在の説得力が素晴らしく、これはまさにベテラン女優・大竹しのぶさんを選んだキャスティングの妙だなぁと。

近年の映画で言うならば、『散歩する侵略者』にも近い内容を短時間でまとめ上げた脚本が素晴らしく、見事な結末にもうならされた。

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『イマジナリーフレンド』
☆×3.9

[出演者]
広瀬すず、堀内敬子、岐洲匠、横田真悠

[あらすじ]
「イマジナリーフレンド」について学ぶ大学生の早希。そんな彼女の前に現れたのは、幼少期の空想のお友達・ウサギ人形のユキちゃんだった……。

[感想]
この時代に、あえてCGではなく、人形で不気味なキャラクターを生み出した辺りに、製作陣の本気度が伝わってきた作品。放送30周年という節目の放送だけに、コロナ禍がなければ、もっと、豪華な企画を用意していたかもしれないが、超売れっ子女優・広瀬すずさんを出演させただけで、爪痕を残した感は強いw。

戦隊出身の岐洲匠さん、ドラマなどで少しづつ、頭角を現している横田真悠さんなど、限られた制作予算内(あくまで憶測w)でのキャスティングのセンスの良さが光っており、ヒューマンドラマ系かホラー系か、どちらに転ぶのか全く予想のつかない展開も見事だった。

ただ、後半に明かされる真実は、やや唐突で序盤の描写と辻褄が合わない部分があり、そこがなければ、文句なしの傑作だった。

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『アップデート家族』
☆×3.6

[出演者]
高橋克実、吉川愛

[あらすじ]
家族の関係性が冷え切っている黒崎家。
そんな中、冴えない父・睦夫は「ファミリーアップデーター」という新製品の存在を知り……。

[感想]
THE 出オチネタ。笑
とはいえ、それが、逆に「世にも」らしいコメディ快作だった。

突然、出てくるブロンド外国人や、原型をなくした祖父母、そして驚きのラスト演出など、シュールな作風は、まさしく、90年代「世にも」。
中身は全くないが、決して嫌いではなかった。

他作品に尺を使いすぎたあまり、マジで一瞬で終わってしまうのが、一番の爆笑ポイント。
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