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この恋あたためますかのtetsuのレビュー・感想・評価

この恋あたためますか(2020年製作のドラマ)
4.3
主演を務めた森七菜さんと、脇を固める実力派若手女優に興味があり、鑑賞。


[あらすじ]

地下アイドルをクビになり、コンビニバイトを始めた20代女性・樹木。
SNSのスイーツレビューがきっかけで本社に目をつけられた彼女は、新任の代表取締役・浅羽によって、まさかのスカウト。
スイーツ開発部で仕事をすることになるが……。


[総評]

近年放送された民放恋愛ドラマの中でも、ここまでキレイな終わり方した作品ある??ていうぐらい気持ちの良いラスト。

単なる恋愛ドラマで終わりそうな題材を、時事ネタや群像劇としても発展させた脚本の妙は見事で、最後の最後に「2020年のドラマ」としてのメッセージを組み込んだ点には、脱帽。

とりあえず、今後、神森万里江さんが脚本を担当したドラマは、追い続けることに決めました。

役者陣のキャラクターへのハマり具合も見事で、是非、来年のクリスマス辺りにスペシャルで帰ってきてほしいところ。

なにはともあれ、大変なご時世の中、ここまで明るく元気の出るドラマを作った製作陣のみなさんには、感謝しかないですね……。

本当にお疲れ様でした!


[感想]

コンビニスイーツ×恋愛ドラマという題材で、日本の連ドラ枠に新機軸をもたらしたとも言える一作。

物語の展開に合わせて、コンビニでも本編登場のスイーツを販売するというTVドラマならではの試みも見事で、筆者も実際にコンビニスイーツにハマってしまった。笑
(コンビニでは、かなりの確実でタイアップ商品が売り切れており、見事に試みが成功している模様。)

若手社長・浅羽が務めていた大手ネット通販会社・exazonはamazon、コンビニ・ココエブリィはココストアやエブリワンを彷彿とさせるほか、実際にamazonがコンビニ業界へ参入し始めていることから、かなり時代性を感じられる物語になっている部分も興味深い。

また、回を増すごとにありがちな恋愛ドラマに寄っている傾向はあるものの、「コンビニスイーツを作る」という題材自体が珍しいため、唯一無二な作品にはなっている。

そして、主演コンビの森七菜さん&中村倫也さんはもちろんながら、脇を固める役者陣が素晴らしい。

『あのコの夢を見たんです。』での共演経験からか、森さんとの掛け合いに安定感しかない仲野太賀さん、年上で大人しい役柄がハマりすぎる石橋静河さん、個人的な激推し女優・古川琴音さんに、素の雰囲気が馴染み過ぎている飯塚悟志さんなどなど。

魅力的な役者陣のおかげで、たとえ、マンネリ化ギリギリのストーリーでも、つい見てしまう不思議な求心力が生まれていた。


[各話感想]

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#1

[感想]

森七菜&仲野太賀コンビの圧倒的安心感。地下アイドル時代の森七菜さんが、なぜか老けて見えるというツッコミどころはありつつも、フリーターから商品開発部へと駆け上がる主人公のシンデレラストーリーが斬新で面白い。
また、価格設定や保存期間など、コンビニスイーツ製作の裏側を紹介してくれるエピソードも楽しい。

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#2

[感想]

晴れて社員になったものの、相変わらずタメ口を使い続ける主人公の描写や、彼女が周囲に与えた影響の描写が浅いという点には、若干の不満が残る。
しかし、一方で、商品開発部の同僚・北川役・石橋静河さんの魅力が光ったエピソードであることは確か。
本作から『いちごの唄』や『きみの鳥はうたえる』を観る人が増えることを強く望む。

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#3

[感想]

前回から少しずつラブコメ色が強くなり、本作では着地が若干、ぶっ飛んでいた気が……。
とはいえ、コンビニでの本作のタイアップにまんまとのせられ、コラボスイーツを食べながら、鑑賞しました。(←単純。笑)

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#4

[感想]

生意気な主人公に大きな壁が立ちはだかり、真面目モードになってきたことで、むしろその魅力が引き立っていた回。イッキ見をするには、恋愛要素が同じことの繰り返し過ぎて疲れるであろうマンネリな展開はさておき、やはり、役者陣の魅力が素晴らしい。優しい好青年を演じる仲野太賀さんはもちろんながら、思いのほか、お笑い芸人・東京03の飯塚悟志さんが良い。演技というよりは、ほとんど素のような気もするが、それがかえって絶妙で良い。

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#5

[感想]

ここにきて、主演・森七菜さんの演技に拍車がかかってくるというまさかの追い上げ。
序盤に比べると、笑顔が、かなり自然になってきた印象。(加えて、石橋静河さんの魅力も加速していた。)
社内でイチャコラしすぎ案件は、若干、気になりつつも、それこそがフィクションならではの醍醐味とも……。
割と落ち着いてきた人間関係に、退屈さを覚えつつも、予想外のラストには、今後の展開が気になった。

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#6

[感想]

人物のポジションがガラッと入れ替わり、マンネリ化してきた物語を打破する工夫が興味深かった回。そんな展開も踏まえ、サブキャラクターの設定を活かしたストーリーテーリングの見事さには驚いた。
「お馴染みのメンバーが温泉旅行に行く」という、ある意味、Go to travelな内容でありながら、そこで浅羽が発見した気づきなど、撒かれた伏線が、今後、どのように回収されていくのかは、純粋に楽しみ。
そして、過去イチで絶妙なクリフハンガーに、次回が気になって仕方がない。

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#7

[感想]

いつにも増してダラダラとした序盤に嫌気がさしつつも、停電→お化け屋敷→ボランティアという中盤以降の謎の盛り込み具合に笑う。
「停電が理由で学校の体育館に集まるの、よく考えたらおかしくない??」とか、ツッコミどころはありつつも、このドラマにおける石橋静河さんと森七菜さんの尊さは尋常ではないので、目をつむることとする。笑
しかし、なんといっても、脚本が良い!
SNSによる口コミマーケティングの重要性を取り上げた内容は、コンビニとのコラボスイーツを成功させている本ドラマゆえの説得力があるし、スイーツ開発に悩む登場人物たちが「大切な人へ届けるための創作活動」という原点に立ち返る展開には感動。
切なさと幸福感が混在する複雑なラストシーンも、めちゃくちゃ好みだった。

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#8

[感想]

「森七菜さんと仲野太賀さんの組み合わせは至高」だと改めて感じさせられる回。
特に「二人のUNO」のシーンは多幸感以外の感情が見つからない。尊さの極み。
ここぞとばかりに本領を発揮する史上最強の優おじさん・飯塚さん(東京03)の名演もさることながら、ツンからデレへの移行が急すぎる社長(演:中村倫也さん)の変化など、やはり、役者の名演が光る。
個人的には、シニア層に愛されるヒロイン・森七菜さんという構図が癒しでしかなかった。
いかにも、恋愛ドラマな結末はさておき、番組タイトルが絶妙にハマるラストカットの構図は完璧。

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#9

[感想]

物語が収束していく最終回直前。
スイーツ開発にいそしむ序盤の展開は、正直、通常運転という内容で、これといった見どころは感じなかったものの、「チームメンバーで記念写真の撮影→画面に現れたLINEの通知で修羅場」という後半から、一気に面白くなった。
いつも以上に、可愛さが爆発している森七菜さん(←最終回目前で、メイクさんが本気を出してきた説もある。笑)、何気に良いところを持っていく飯塚さん、LINE通知を見た後に迫真の表情をする太賀さん、誠実さを学んだ社長こと中村さんと役者陣の名演は言わずもがな。
そして、次回を見ずにはいられない終わり方が至高だった。
ちなみに、今回はコラボスイーツを買って、本編を視聴。
劇中でも、まさかの食事シーンが登場し、登場人物とほぼ同じタイミングで、スイーツを食べるという貴重な体験ができた。
これだけでも、本作を見てきた甲斐はあったなぁと思った。(そして、スイーツも予想以上に美味しかったため、大満足。)

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#10

[感想]

開始20分で、物語の決着をある程度つけた上で、メインキャラクターのクリスマスエピソードを描くという、かなり贅沢な使い方の最終回。
それゆえ、この系統のドラマにありがちな「未回収の伏線」や、「強引な展開」もなく、満足度の高い内容だった。
(特に、恋に破れた側やサイドキャラクターの物語もしっかりと描き切った脚本の妙には、ただただ頭が下がる。)
また、様々なキャラクターのクリスマスエピソードに触れることで、恋愛ドラマにありがちな「クリスマスはカップルと過ごすことが幸せ」という結論を回避している辺りも秀逸。
第1話やキーアイテムを伏線としてさらっと回収するラストシーンも含め、想像以上に上手くまとめられた内容。
近年のドラマの中では、ベストと言っても過言ではない程に、納得のいく最終回だった。


2021/1/11 追記
シリーズ:コロナ禍の作品を追加しました。
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