ヒノモト

母性のヒノモトのレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
3.2
湊かなえさん原作小説の映画化。
「ヴァイブレータ」の廣木隆一監督作品。
原作未見です。

かつて娘の立場だった自身が母となり、娘とどう向き合っていくかということの先にある事件から、さかのぼって母の視点と娘の視点、同じ瞬間の回想でも、食い違う様を映像としてみせていく作品。

そういう同じ場面なのに、視点により違う演技になっているのは面白く感じましたが、全体的にはドラマチックである物語の起伏や登場人物の見せ方、特に母親と義母のキャラクターの差、演出または演技、その行動が過剰に見えてしまう場面が散見されていて、物語を楽しむ上でのノイズになってしまい、うまく楽しめませんでした。

年齢を重ねて、やがて母になり、かつての母の立場になって感じ方の変化、受け継いでいくものとしては、恒久な物語ではありますが、女性たちのキャラ区分けは細かく細分化されているのに対し、父親やその他の男性は存在しているのに空気のように、曖昧な存在になっているのも、女性作家原作だからなのかわかりませんが、家族を描く作品としてはバランスが悪いようにも思えました。

物語の本質の部分、少しネタバレになるかもしれませんが、母親のために最善でありたいというようなマインドを持ち続けることから差違が発生するということが、リアルな感情なのか、フィクションとしての創作なのか、性別の違いで感じにくいのか、ラストまでうまく感じ取れませんでした。
ヒノモト

ヒノモト