このレビューはネタバレを含みます
数年前に原作を読みました
個人的には実写として原作の解像度、再現度が高くてあっという間に観終わりました
モノローグは多いけど台詞での説明でなく、服装や食卓や雰囲気など様々なもので細やかな表現がされていて、目が離せない
特に、ルミ子さんが娘を見ていない、というのは他人が清佳ちゃんを見てもすぐわかるのに、ルミ子さんにだけはどうしても伝わらないのが悲しかった
最愛の人も美しい家も失って、あの時目が覚めてほしかったけどそんな浅く簡単なものでもないよね人は
華恵さんは娘にも孫にも無償の愛を注いできたつもりだったと思う、火災のシーンからしても依存する関係を求めていたようには見えなかった
でも、ルミ子さんの気持ちも一部わからなくはなく、誰が悪いとか悪くないとかでは片付けられない複雑な母娘の姿がそこにあり、観ていてつらかった
同じときを振り返っているのに見えている景色は全く違うものだったり、
本当にほしいのは形に残る、目に見える愛情ではなく優しいまなざしや温もりだったり
母であり娘であり、の立場から観てもそうでない方も、愛について思いを馳せる作品かと
戸田恵梨香さんのルミ子さんも、大地真央さんの華恵さんも神々しい程の美しさで、
まさに母は強しなどと世間で言われるお母さん像のようだったけど、
母は母だからといって別に強くなどないし、人間を育てるのはそんな簡単ではないよとも言われてるようでよかった
タイトルからしても、母という存在やイメージにとらわれている人々というかこの世の中自体を表してるような作品でした
「坂の上の家」の森ガキさんが監督なのも納得でした
ただ、私は原作読み終わった後に解釈を考えてしまって、実写でもエンドロールには余韻や余白を残してほしかったから、たっぷりした歌詞の楽曲じゃなくてインストが合っていたように思いました