みんと

めぐりあう時間たちのみんとのレビュー・感想・評価

めぐりあう時間たち(2002年製作の映画)
3.7
死生観が深い作品だった。

バージニア・ウルフの名作小説「ダロウェイ夫人」をモチーフに、異なる時代に生きる3人の女性がそれぞれ迎える運命の1日を描いた文芸ドラマ。

生きる事の苦悩と尊厳を群像劇として描かれるが、正直 知識ゼロのせいもあってか不完全燃焼気味に観終えたのはちょっと残念。

ただし、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマンと、豪華過ぎる共演により、作品そのものよりも鳥肌級の演技合戦が見どころでもあり、実際見応えがあった。

“死”と言う凄まじくて重いテーマをベースに、パーティー、同性愛と言った共通する要素を絡め、誰もが逃れられない運命のひとつとして真正面から捉える。
重厚さを演出する音楽も、背筋がピンと伸びるような映像も(特に英国パート)作品の質を押し上げていた。

エイズで痩せこせたエド・ハリス、突然年老いて出てきたジュリアン・ムーアに鳥肌。全く気付かなかった特殊メイクのニコール・キッドマンには圧倒される。そしてメリル・ストリープの安定感は言わずもがな。

もう一歩感情移入し切れなかった事を差し引いても満足感の高い作品だった。
再見するとより響く気がする。
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