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「めぐりあう時間たち」に投稿された感想・評価

か

かの感想・評価

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アイデアやメッセージは良いけど、人物の存在感が伝わるほどのエピソードがないのと、物語的な演出的な面白さ、つまり映画的な面白さが弱い。原作は面白そう。映画にするには情報が多すぎないか?
カット割りすぎ。長く回せばいいというもんでもないがさすがに集中できないくらい割りに割る。
題材はとても好きだけど、描ききるのはとても難しいと思う。
老けメイク好きとしては最後に興奮ポイントが!
それにしてもジョンCライリーさんいつもこんな役やらされてない?
私が小さい頃、近所のおばさんが亡くなったという話を大人たちがしているのを聞いていたときの記憶があって。
「お見合で結婚して、子供育てて、姑に仕えて…。」
「みーんな、そんなもんよねー。」って大人たちは頷きあってた。

それを聞いて、一生ってそんなちっぽけなものなのか~…と、思った。

さすがに今はそこまでじゃなくても、
結構好きに生きてきたつもりの私だって、今になって振り返ると、世間体や常識とかにだいぶ縛られてたよね…って思う。
まず、自分ってものの正体が判ってなかったよ。

その点、この作品の彼女らのこと、尊敬してしまう。
三人ともそれぞれに「自分」を生きたくて苦悩しているんだから。

まず、1920年代に『ダロウェイ夫人』という本を書いた女がいた。
次に1950年代に、その本を読んで、本当の自分らしい生き方をしようとする女が現れる。
そして、2000年代初めの女は、おそらく時代の助けもあって、かなり早い段階から自分らしい生き方ができている。

でも、三人とも、どんなに自分に忠実に生きても、苦悩している。
ちっぽけでも、ちっぽけじゃなくても、人生って辛いんだ😢🌊


「人生に立ち向かい、いかなる時も人生から逃げようとせず、あるがままを見つめ、最後には受け入れ、あるがままを愛し、そして立ち去る」
これは、ラストに流れる、多分『ダロウェイ夫人』の一節。
 
lente

lenteの感想・評価

4.5
*アメリカ(イギリス)

ほんとうの意味での大人向けの映画なんだろうと思います。かつてスクリーンで観たものの、まったく意味が分からなかった作品。けれど時間の粒子がまるで手にとれるように痛切な印象を残しており、ずっと気になっていました。

そして年月を経て再鑑賞したところ、描かれたすべてのシーンの1つ1つが心に迫ってきて愕然としました。どれほど純粋な思考力や直感力に優れていたとしても、これは若い頃には分からない感覚だろうと僕には思えます。

あらためて映画を観て思ったのは、原作小説そのものが美しく均整をとりながら構造的に書かれているだろうことです。そうした強固な構成のなかに、女たちにとっての生きることの困難を魂(たましい)の領域に踏み込むようにして描き出しています。

主要な登場人物は3人の女と1人の男/少年。

女1:ヴァージニア・ウルフ(1923年・英リッチモンド)
女2:ローラ・ブラウン(1951年・米ロサンゼルス)
女3:クラリッサ・ヴォーン(2001年・米ニューヨーク)
男/少年:リチャード・ブラウン(1951年・米ロサンゼルス、2001年・米ニューヨーク)

映画はそれぞれの女たちの1日を縦糸として描きながら、横糸にヴァージニア・ウルフ著『ダロウェイ夫人』を用いて彼女たちを構造的につないでいます。

女1:ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)は著者であり、女2:ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)はその愛読者、そして女3:クラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)はダロウェイ夫人と同じクラリッサというファーストネームをもつ。

またクラリッサの親友であり詩人でもある男/少年:リチャード・ブラウン(エド・ハリス)は、ダロウェイ夫人の夫と同じファーストネームをもちます。『ダロウェイ夫人』の愛読者であった母親の女2:ローラ・ブラウンによって名づけられたのだろうと思います。

僕は『ダロウェイ夫人』を読んではいないのですが、劇中の様々なシーンで同作から引用したセリフが散りばめられていることは分かりましたし、恐らくはヴァージニア・ウルフが作品の中に込めたテーマと、深く溶け合わせているだろうことも伝わってきました。

生と死を行き来する心が時間の流れのなかに揺らぐ感覚を、ここまでナイーブに痛切に描けていることにやはり驚きますし、また描こうとした対象にではなく描写力そのものにこそ、この映画の深い感動はあるように思えます。そしてそれは恐らく、ヴァージニア・ウルフの作品がもつ力でもあるのだろうと思います。

また3人の女たちがそれぞれに抱える魂(たましい)は、ドラマ的な意味で対立するように構成されてもいます。

女1:ヴァージニア・ウルフ
才能にあふれ女性としての尊厳と自立を獲得しようともがきながらも、その鋭い矛先ゆえに19世紀的な封建社会の中でやがて潰(つい)える。

女2:ローラ・ブラウン
ウーマンリブが起こる以前の20世紀半ばに、穏やかなミドルクラスで平凡な専業主婦として暮らし、夫にこれ以上ないほどに愛されながらも、満たされない思いを隠しようもなくなっている。

女3:クラリッサ・ヴォーン
21世紀に入り女性の社会的地位が向上するなか出版社に勤め、尊厳と自立を保ち愛するパートナーと暮らしながらもどこか空虚さを抱えている。

一見すると女3:クラリッサ・ヴォーンは、女1:ヴァージニア・ウルフや女2:ローラ・ブラウンが得られなかったものを手にしているように見えます。しかしながら10代の頃からの親友で詩人の男/少年:リチャード・ブラウンに、その空虚さを鋭く指摘され動揺するシーンが描かれることになります。

3人の女たちはそれぞれに社会的立ち位置や状況を変えながらも、満たされることのない輪廻を巡るように、真綿で首を絞められるような時間を生きている。

この痛切な時間の描写には、ほんとうに息がとまりそうになります。たぶん実人生のなかでそうした種類の時間を送ったことがなければ、この優れた描写力は価値として受けとめることができないように思います。少なくとも僕にとっては40代になることが必要でした。

ところで女1・女2・女3・そして男/少年の全員が、現在で言うところのLGBTQとして描かれています。ただし彼女や彼らが抱える苦しみは性的マイノリティであることに直接的に由来するものではなく、そのあたりの加減が上質な大人の味わいに満ちています。それがきっかけのように機能はするのですが、本質的な苦しみというわけではない。



そうしたメインテーマの一方で、処女作にあの『リトル・ダンサー』を持つスティーブン・ダルドリー作品として観るなら、僕の胸を打つのは女2:ローラ・ブラウンの息子として生まれたリチャード・ブラウンの運命です。

母親のことを「怪物」と呼び(そう呼ぶ理由は映画のなかでナイーブに描かれます)、詩人として自作のなかで象徴的に殺すことによって逃れようとしたものの逃げきれず、ついに彼は窓から身を投げうつことになってしまいます。

女たちの絶えることのない輪廻の中で、その致死的な影に捉えられてしまい死への跳躍をするしかなかった少年。

監督第1作の『リトル・ダンサー』では希望と未来へと跳躍した少年が、監督第2作では絶望的な死へと跳躍したことになります。こうしたフィルモグラフィのなかでの揺れ動きもどこかヴァージニア・ウルフを思わせるところがありますし、もしかすると英国文化の1つの伝統なのかもしれないと興味深く思います。

それにしてもその男/少年:リチャード・ブラウンが身を投げた後に、女3:クラリッサ・ヴォーンの元へ現れた女2:ローラ・ブラウンの描写の凄さには圧倒されるような思いがしました。

文学的な才能に恵まれた女1:ヴァージニア・ウルフと男/少年:リチャード・ブラウンは自死を遂げ、社会的に成功しパートナーにも恵まれた女3:クラリッサ・ヴォーンもまた空虚さを抱えるなか、最も平凡だった女2:ローラ・ブラウンが、家庭を捨てながら最も命の火を燃やしたかのように僕には映ったからです。

彼女は言います。「後悔してどんな意味があるのでしょう、ああするしかなかった。出来ることをした。誰も私を許さないでしょうね。私は死ぬより生きることを選んだ」

このセリフにとてつもない重さを持たせたジュリアン・ムーアと、その姿に深く動揺するメリル・ストリープの素晴らしさ。またニコール・キッドマンをこの作品を観て僕は初めて美しいと感じました。

話が難解なのではなく、この種のメンタリティは時間の量が質に転換する経験をしないとうまくつかめないように思えてなりません。たぶん映画の原題『The Hours』が示すとおりに。
mika

mikaの感想・評価

3.8
観よう観ようとなかなか観られず、先日フィルマ仲間さんに観る勇気?をいただいたんで、やっと(笑

まず、メリル・ストリープくくりで観たかったので、あまりにも彼女に全集中しすぎたのか、大好きなニコール・キッドマンも出てることをすっかり忘れてた。最初っから出てるのに、あれ?どこにいたっけ?と後で思う始末(ぉぃ
それほど美しさを消した演技だったということなんですね。。。(その必要があったのかは謎)

最初から最後まで、重苦しい雰囲気のまますすみます。

3つの時代が、同時進行していることに、早く気づけないとチンプンカンプンになります。
気付けたらこっちのもんで、その時代の絶妙な交差具合が、楽しめます。
実に巧妙です。

同じ悩みでも、時代が違うとこうも違うもんなのか。
それぞれの時代が、同じようなことなのに、違う展開をしていく。
そんな面白さがあります。

いつもおかしな邦題が多いですが、これは邦題がピッタリきてます。

結果、これは誰が主役だったんだろうか(・・? 
3人が主役・・なのかな。なんて豪華!
麺

麺の感想・評価

4.5
ウルフの『ダロウェイ夫人』を読んでから観るべき映画だったと観終わってから気付いたが、ばらばらに進んでいた複数時間軸のストーリーが徐々に混じり合い、最後には一点に収束するという、脚本のよく出来た満足感のある映画だった。
「(満ち足りない)女の人生」を描いた映画で、トーンはずっと薄暗いのだが、不思議と見ていて退屈にならない映画だった。次のシーンで何か不幸が起こりそう、というハラハラ感があったからだろうか……。
NJ

NJの感想・評価

4.5
ニコール・キッドマンの怪演に終始惹き込まれるが、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、エド・ハリスもいい味出してる。
女性の考えは分からない。男性社会の強い時代と今では状況が異なるかもしれないが、もう少し話合えないのかね、特にローラ。
Hitomi

Hitomiの感想・評価

3.5
ニコール・キッドマンがわざわざ特殊メイクまでして演じる必要があるのかが疑問。物語は最初から最後まで全体的に暗く、観た後の気分はあまりいいものではなかった。
Dogman

Dogmanの感想・評価

3.6
出来事ごとの間の、長さこそ見せたいのだろうか。人によっては長ったるく感じてしまう。それこそ、登場人物たちが感じている息苦しさに繋がる。それを掻き立てるただ進んで埋めてくるピアノとストリングスのシンプルなクラシック音楽。淡々としてて、重い。
時間を超えて繋がる愛の物語

邦題がしっくりはまる貴重な映画。難解で気だるい面もあるが一度没入してしまえば心に響く深い作品である。当時まだイケイケだった二コールキッドマンの豹変した風貌にただただ驚愕。
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