ごりぞう

ハケンアニメ!のごりぞうのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.4
【作品は、誰かに刺されば良いのだ】
 映画「シン・仮面ライダー」に関するTLに流れてくる批判的な感想に食傷気味になってしまったときに、ふと思い出してNetflixのマイリストから掘り起こした作品。アニメ業界というよりも、仕事映画である。どんな仕事でも、孤独なリーダーがいて、それを支える組織がある。職人気質であったり、プライベートを大切にしたりする個性あるスタッフを使って、“誰かに刺さる”自分のアニメを撮ることに情熱を燃やす主人公を吉岡里帆を演じ、天才と呼ばれる故に、過去の実績を超えることの壁と闘う監督を中村倫也が演じる。
 普段知ることの少ないアニメ製作の苦労を観ることができるのだが、視聴率の他にLINEのコメントのような吹き出しが、容赦なく作品を評価していく。
 人間関係のドラマなので、ある意味で“イヤな奴”も登場させながら、それでも“本当に悪い奴”が登場しない。それが、よりリアルな現場を描いていて、好感が持てる。身近な“嫌なヤツ”も、本当に悪い奴ではなく、主人公のように(ぶつかったり、理解したりして)関わっていけないことに、問題があったりするのかもしれないと思ったり。
 劇中のアニメも、良くできている。本当に観てみたくなる作品だ。
ごりぞう

ごりぞう