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1950 鋼の第7中隊のTSのレビュー・感想・評価

1950 鋼の第7中隊(2021年製作の映画)
3.5
【必ずしも中国万歳映画ではない】75点
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監督:チェン・カイコー/ツイ・ハーク/
ダンテ・ラム
製作国:中国
ジャンル:戦争
収録時間:185分
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 2022年劇場鑑賞53本目。
 1か月ぶりの映画館。なんとか滑り込んだものの、3時間近くある超大作。なんだけれどもそれは中国国内での話であって、世界的には全然な模様。なんなら共産党全面協力なので、プロパガンダ映画とされていまして、賛否が大きく分かれる作品だと思います。
 ただ、個人的にはあまりプロパガンダ臭はしなく、仮にしたとしても大体の映画って何かを伝えたいのだから、許容範囲ではと思えてしまいます。まあこう言えるのも、今作の出来がエンタメ作品としてはむしろ十分及第点に至っているからでしょう。そう考えたら、お国が全面協力してお金を出してくれるのは良いことでもありますね笑

 今作は1950年の朝鮮戦争における長津湖の戦いを描いた戦争映画。史実がどこまで歪められているのかはわかりませんが、この戦いは中国がアメリカに大勝した歴史的な戦いと位置づけられています。まあ日本で言うと日露戦争の二百三高地みたいなものでしょうか。どの国でも、自国が勝利したと言う事実は映像なり書籍なり、なんでも記録に残したいでしょう。どうやら今作は「中国勝利三部作」の2作目だそうで、この企画には共産党もノリノリな状態。2021年が共産党誕生100周年でもありましたから尚更といったところ。結果、7万人のエキストラが導入され、約270億円も注ぎ込まれたトンデモ映画と化したのです。いわば国民からかなり注目される題材をもってきているため、売れ行きもかなりのもので、どうやら中国映画史上最も売れた作品となった模様。

 肝心の中身ですが、これだけ注ぎ込んであるため、上々の出来だと思います。政治的意図などは考慮せずに、単純に迫力の面だけでいうとハリウッドのそれに負けず劣らずといったところ。VFXは多用していますが、カメラワークが独特であり、臨場感はあります。そして上映時間のほとんどが戦争シーンというのもかなり重厚。あたかもその場にいるかのような緊張感を味わえます。とにかくまあ金を使ってるなあと思わずにはいられない、超大作となっています。

 マッカーサーやら毛沢東やら出てくるので最早何でもありの状態。ただし、完全にアメリカを悪としている感じでもなく、戦争シーンの中で悲痛な体験をする兵士たちをじっくり描いているのでそんなに臭みはありません。ラストは確かに中国万歳的な展開が続きますが、何度も言いますが許容範囲。それ程目くじらをたてなくても良いかなと思えます。ただ、やはり韓国からも大ブーイングがきているようで、見る人によっては地雷映画となりそうです。

 映画館で見るべきかどうかというと見るべき作品だとは思いますが、あくまでそれは今作に興味があり、見ようとしている人に限ります。中国共産党や北朝鮮の動きに敏感な方や、戦争シーンが苦手な方にはお勧めできないと思います。評価の難しい作品と言えます。

 それにしても、中国の作品って本当に最初の配給会社のイントロムービー、見たことないやつガンガン出てくるし雑ですよね。申し訳ないですけど笑
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