ジェイD

RRRのジェイDのレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.8
迫力ありすぎて観た後の方が元気出ちゃった。力こそパワー、血湧き肉躍る、そうはならんやろ→なっとるやろがい、で詰め込んだあまりにPoweRRRfulなエンターテインメント。

1920年代イギリス植民地支配下のインド。攫われた少女を救いに立ち上がった村最強の男ビーム。ある使命のためにイギリス警察として大英帝国に従事するラーマ。相対する2人は身分を知らずに親友となるが…。

画面を埋め尽くす"画力"に圧倒されすぎて笑っちゃう一作。物語自体もド直球でわかりやすいものをマシマシ圧々熱々に味付けして食え〜!!ってな感じ。なのにちゃんとドラマは組み立てるから繊細な風味もある。なんだこれ、いちいち感情が心に届くどころか吹き飛ばしてくる勢い。

特に悪い時かつ特に悪いことしてるイギリスを描いてるからインド人目線の勧善懲悪として割り切って観れる。実際英国でヒットしたらしいし、とりあえず国際的な観点を忘れられるぐらいに全編に渡って熱い漢たちのエナジーで満ちてる。インド愛、祖国愛、先人達への意思が強すぎる。

かと思えば橋の下で手を掴み合う2人の投げ合う旗と少年が後半の展開の隠喩になってたり、英国紳士・美女達がナートゥナトゥに踊り狂うシーンとかオシャレ過ぎだし素敵過ぎる。ずっと楽しい、色んな楽しいで溢れてる。

また、あくまでも"抵抗の物語"であること。主人公2人は結構な数のイギリス人をぶっ倒していくわけだけど、そもそも耐えきれぬ暴力を振るわれてきた怒り、自身の尊厳を守りたいという意志、虐げられてきたインド市民の強さの象徴としてのラストなので、決して不条理ではない。

そんな暴力でしか生き抜くことができなかった時代を戦い抜いた彼らの最後のセリフが印象的。あれは一転、対話の重要性を強調している。本来はそうやってコミュニケーション<対話>によって戦うべきなんだよね。

とはいえ結構バイオレントだったかな。大英帝国の支配はかなり痛みを伴うものだったし99.9%のイギリス人が憎たらしいキャラだった。0.1%が本作での大きな救い。アクションにリアリティを持たせるためとは言えびっくりはしたね。

予告編の時点でハチャメチャすぎた野生動物一斉放出がまさかの中盤のワンシーンでしかないという、通過点でしかないという異常な密度を持った本作。上映時間3時間あるけど休憩は無いぜ!けどこちらから余った分の体力は全然あげちゃうぜ!というテンションを画面いっぱいに表現されちゃうんだもん。あーぁ、明日からも頑張りますかぁ。
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