サマセット7

RRRのサマセット7のレビュー・感想・評価

RRR(2022年製作の映画)
4.7
監督は「マッキー」「バーフバリ」二部作のS.S.ラージャマウリ。
主演はインド映画界のトップスターであるN.T.R.ラオJrとラーム・チャラン。

[あらすじ]
1920年代イギリス植民地支配下のインド。
イギリス総督(レイ・スティーブンソン)に奪われた村の娘を奪還するため、最強の狩人ビーム(N.T.R.ラオJr)は総督府のあるデリーに潜伏する。
そこでビームは、好漢ラーマ(ラーム・チャラン)と運命的な出会いを果たす。
しかし、ラーマの正体は、イギリス総督府に仕える無双の警察官であった!!!
2人の英雄は互いの正体を知らぬまま、熱い友情を築いていくが、対決の時は近づいていた…。

[情報]
2022年10月21日日本公開の、インド映画。
S.S.ラージャマウリ監督の前作、バーフバリ2部作は、強烈なアクションとド派手な映像、激熱なストーリーが評判を呼び、世界的な大ヒットとなった。日本でも熱狂的反応を呼び起こし、インド映画ブームの火付け役となった。
バーフバリの監督の次作とあって、今作は、大きな期待を背負っての公開となった。

今作の製作費7200万ドルは、インド映画史上最高額。
インド映画の二大スターをダブル主役に配置し、古代インドが舞台であったバーフバリとは異なり、イギリス植民地下の近代インドを舞台とした。

タイトルは、監督と2人の主演俳優の名前の頭文字がRだからついた仮タイトルがそのまま採用されたとのこと。
一応作中に、蜂起、咆哮、反乱(Rise,Roar,Revolt)と記載があるが、後付けらしい。

今作の主人公、ビームとラーマは、それぞれモデルとなったインド独立運動の英雄がいるらしい。
それぞれ活躍した年代が異なり、2人が対決するという今作のストーリーは完全なフィクションだが、史実にインスパイアされているようだ。

ジャンルはアクション、ドラマ。
インド映画ならではの独特のミュージカル描写もあるが、今作の歌や踊りのほとんどには物語上の必然性がある。

今作は、日本公開前にすでにインド、アメリカ、イギリスなどで大ヒットとなっており、興収は1億6000万ドルを超えている。
すでに、批評家、一般層問わず熱狂的な高い評価を受けている。

[見どころ]
長尺が一瞬で過ぎる、激熱展開の連続!!
極まった、カッコいい画面作り!震える!!!
ダブル主人公の肉体の躍動!!
他で見たことのないアクションばかり!!
男と男の熱すぎる友情とバトル!!!
史実を思わせる、抑圧に対する抵抗の物語!
強烈な反抗のカタルシス!!
この調子で見どころを挙げていくと、キリがない!
全部が見どころだーーー!!!

[感想]
これぞ、至高の映画体験。

総督府に仕える主人公の一角、ラーマの導入から、とんでもない映画が始まったと、強制的に理解させられる。
荒野に孤立する収容所。
建物の前には、軍服を着た少数の白人と、制服を着たインド人警官たちが数十人。
他方、建物を取り囲んで押し寄せるは、何千、何万いるのかわからない多数の群衆たち。
群衆の圧に引いてしまう警官たちの中、1人一歩も引かないヤツがいる…。
そんな中、群衆の1人のある行動に、イギリス人高官は、捕まえて連れて来い!と口走る。
誰も動こうとしない中、無謀にも、数万の群衆の中に飛び込む男がいた…!!!!
その、無双系アクションゲームを彷彿とさせる、凄まじいアクション!!!
普通のアクション映画に、一度や二度、あるかないかの超絶アクションが、いきなり序盤のイントロダクションで炸裂する!!!
しかも、あくまでギリギリ、リアリティを失わない描写なのが、より凄い!!!

他方の主人公、ビームの導入もまた印象的だ。
イギリス総督府の高官と面会中のインド人の役人らしい男は、拐われた村の娘を返した方がいいと助言する。
どうやら、村にはヤバい奴がおり、その男が奪還に動いているらしい…。
からの、画面が転換して、ビームの狩猟風景!
圧巻の迫力!!筋肉!!ダッシュ!!!
こいつはどう考えてもヤバい!!!!

その後も息も吐かせぬ怒涛のアクションの連続!
2人の出会い!!!
パーティー!!!
そして、ついに訪れる対決の時!!!!!
そしてそして!!!(以下略)
とにかくアイデアの豊富さには舌を巻く。
こんなの、見たことない!!!

いちいち決め絵がカッコいいのは、バーフバリ同様。
タメが効いていて、ドーン!!とくるのがクセになる。
衒いがないのが、気持ちいい。
歌曲も物語を盛り上げる、盛り上げる。
爆発やエフェクトもド派手の極み。
観ているこちらも没入して、テンションは上がりっ放しだ。

変に物語を複雑にせず、2人の英雄の友情と使命、対決に絞っているのも、非常に好ましい。
バカっぽい話かと思いきや、抑圧の時代だけあり、かなり重い題材とストーリーをも含む。
信念と友情の葛藤がこれでもかと描かれており、感情がゆっさゆっさ揺さぶられる。
葛藤と抑圧が丁寧に描かれるがゆえに、終盤のカタルシスは凄まじい。
印象的過ぎるエンドロールも含め、これぞ感情のジェットコースター!!!

上下編に分かれていたバーフバリと比較して、一作で完結させてくれるのもありがたい。
3時間を超える長尺だが、一切気にならなかった。

何もかもが規格外。
全てが最高。
これを映画館で観ないのは、勿体なさ過ぎる!!!!

[テーマ考]
今作は、友情と使命の葛藤を描いた作品である。

また、インド独立において、抑圧者の圧政に反抗した勇者たちの偉業を讃える作品でもある。

小難しい要素は一切なし。
超絶アクションに身を任せ、ぐんぐんテンションを上げていけば、自然とテーマもすとんと頭に入ってくる。
すなわち、アクションで、テーマを表現している。
これって、結構スゴいことだと思うのだ。

[まとめ]
20年代を代表することになるかもしれない、2人の主人公の友情と対決を描き切った、インド発超絶アクション映画の傑作。

個人的に1番好きなシーンは、パーティーの出来事の決着がつくところかな。
ラーマの人間性が表現されていて、とても良い。
いや、2人の出会いのシーンのトンデモさも大好きだ。
それを言えば、インターバルのロゴが入る直前も…。
と、挙げていくとキリがない。
つまり、最高ってことだ!!!