夏日

RRRの夏日のネタバレレビュー・内容・結末

RRR(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

「友情か 使命か」


大量のインド人が抗議に集まり、いまにも金網をやぶって雪崩込みそうな状況。他の警察官はビビるがラーマは冷静。大群衆のなかにいるある男を連れてこいという命令で即座に飛び込んでいく。袋叩きにされながらも次々に返り討ちにして、血だらけになりながら犯人を引きずって戻ってくる。ラーマやばい。

獲物を狩るために血を浴びるビーム。大人の人間の倍くらいの虎を罠に掛けて力比べになるが、驚異的な肉体で、虎の爪を身体に受けながらもロープを引いて力ずくで虎を後退させる。ロープが切れて飛びかかってくる虎に向かって、薬草でつくった催眠玉をぶつけて捕獲する。ビームやばい。

思想の強い二人がどうやって仲良くなるのか興味あったが、炎上する橋と川から協力して子どもを助けることで親友となる。お互いを見つめ合い、阿吽の呼吸でロープを握って橋から飛び降りる二人。サーカスのようなアクロバット。あんな劇的な救出を二人でやったら親友にもなるわって納得させられる。

自分の集落を守り、家族に危害が及べば迷いなく助けるためになんでもするが、それゆえに大局が見れないビーム。一方で、父から託された遠大な計画を成し遂げるために、自分をとことん追い込むが、大義のための目の前の犠牲に悩むラーマ。大きな視点と小さな視点、どちらも正しいけど片方に偏りがち。

ラーマは、目の前の小さな命でさえ何一つ犠牲にしないビームの行動に、自らの正義が本当に正しいのか困惑する。ビームは、ラーマが大義のために自分を犠牲にしていることを後になって知り、目の前のことしか見れてなかった自分を後悔する。本当の目的は同じはずなのにすれ違って対立するところがアツい。

ビームとラーマの対比がはっきりしていてわかりやすいし、一連のこの出来事を通して二人は自分に足りないものに気づいて成長したんだと思う。だからこそ最後は、互いに大切にしているものと足りないものを理解し合い、本当の敵に打ち勝つべく共闘する。シンプルだけど大好きな物語だった。

とにかく派手なアクションがいい。一対一の戦闘がかっこいいのはもちろん、一対多数の戦闘がすごすぎる。海のようにいる大量の敵が迫力抜群なのと、そのなかで主人公が戦ってる姿にちゃんと視線が誘導されるのがすごい。構図やカメラワークがうまいのか不思議だけど、こんなすごい映像はじめて観た。

トラックのドリフト急停止から、その勢いで檻が開いてビームと猛獣が飛び出してくる演出はかっこよすぎて笑えた。

最後の城が大爆発するシーンの迫力がすごすぎる。箱詰めされた大量のTNTに火がついて、壁も屋根も爆発で吹き飛んで敵兵が宙を舞う映像が豪華すぎて最高だった。CGなのか、本当に爆発させてるのかわからなかったけど、IMAXの大画面を埋め尽くす大炎上は観ててゾクゾクした。

「この銃弾はイギリスで製造されて七つの海を越えて運ばれてきた インド人に使うなんてもったいない」と侮辱してきたのに対して、「この銃弾が真価を発揮するのはイギリス人を撃ち抜いたときだ」と大勢のインド人が団結する。最後に散々見下してきたイギリス人を、銃で撃ち抜いて決着するところが爽快。

劇中の音楽がいい。激しい戦闘シーンや、二人が手を取り合うアツい場面で、低く響く打楽器がさらにテンションが上げる。ナートゥダンスもいい。なぜ踊るのかと思ってたけど、あんなテンション上がる状況ならみんな踊るわ。激しいダンスなのに全員が息ぴったりですごいかっこよかった。

この映画は観ると元気が出る。科学的にはまだ立証されてないけど、ビタミンと同等の効果がある。体内で合成できない必須成分を映画から摂取しよう。
夏日

夏日