ぎー

名探偵コナン ハロウィンの花嫁のぎーのレビュー・感想・評価

3.5
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』鑑賞に合わせて、最近の過去作品を復習。
いやぁ、評判通りの素晴らしい"劇場版コナン"だった。
これだけコナンシリーズは大ヒットして、どんどんスケールも大きくなっていくのに、基本的な根底のルールは絶対大事にする。
コナンや毛利小五郎の設定もそうだし、地味に下らない要素を大事にしてるのも大切なことなんだと思う。
高木と佐藤の結婚式もどきで結婚式の要人警護のシミュレーションをしたり、魅力的なキャラクター性に依った息の抜けるポイントを用意してるのが素晴らしい。
皆になんと言われようと、博士のクイズも継続してるし。
今作では出番がだいぶ終盤だったけど。

今作の素晴らしさは何よりも作品を通して流れるミステリアスさ。
ミステリアスさは劇場版コナンでも大体の作品で演出されてるけど、正直黒の組織に依るところが最近大きくなってきている。
そんな中で今作は実質黒の組織を全く出さずに、王道の事件として、犯人の正体不明さやその描写でがっつりミステリアスさを出してくる素晴らしい作品だった。

ちなみに、かなり珍しく毛利小五郎の良いところが見れる。
自らを犠牲にして灰原哀を助けた。
そんな毛利小五郎を見るのはもう10年ぶりぐらいな気もするが。

そしてミステリアスさが魅力的な作品だけに、劇場版ならではの派手なアクションや魅力的なキャラクターのオールスターを楽しみながら、コナンの推理力、頭脳明晰の爆発を楽しめる。
爆死したロシア人から即座に故松田刑事の同期に繋げたり、爆弾事件に突然巻き込まれても命懸けで爆弾のサンプルを取ってきたり。
最近の劇場版ではアクション面での活躍の方がむしろ目立ってしまっていたぐらいなので、素直に嬉しい。

最近の劇場版コナンはローテーションでゲストキャラクターが大活躍する。
怪盗キッド、赤井さん、などなど。
今回は安室透。
ほぼほぼ裏の主人公と言っても過言ではない活躍。
赤井さんとかと一緒に出てくると、どうしても相対的にややインパクトが弱い印象があったけど、今回はその頭脳明晰さ、判断力の早さ、そして運動能力の高さを遺憾無く発揮して、だいぶ安室さんのファンを増やしたんじゃないかな。

回想シーンの3年前に繰り広げられた犯人との安室達のアクションシーンは本当に素晴らしかった。
犯人と安室達の能力の高さを示しつつも、アクションの描写が大味でなく繊細で、そして何より犯人の不気味さと主人公であるコナンがその場にいないということも手伝って、ヒリヒリとしたスリルを味わうこともできた。

劇場版コナンな度々ロジック的に変なところあるが、今作は比較的少なかったと思う。
今作の敵プラーミャを恨むエレニカ達が刑事の千葉を拉致する手段を選択したところや、敵のプラーミャが村中と交際したり村中との結婚式を挙げるなど、かなり効率的でない回りくどい手段をとったところ、さらに言えば、爆発事件で残されたメモの図象でコナンが真相に気づくことができたところあたりか。
ある程度はしょうがないでしょう。
でも、そう考えると最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』はほとんどそういうところがなかったから、本当に素晴らしかったな。

フィナーレのバトルはザ・劇場版。再開発の進む渋谷上空でのヘリ空中戦、まさかの渋谷の坂を利用した爆弾。
冷静になると突っ込みたくもなるけど、申し訳ないけど勝手にワクワクする。
劇場版で軽んじられがちな少年探偵団の活躍もある意味新鮮だった。

劇場版コナンが徹底してるなと思ったのは、高木と佐藤のラブロマンスをきちんと描いているところ。
コナンと灰原、コナンと蘭のラブロマンスがなくても、怪盗キッドが出てこなくても、そういったニーズをきちんと離さない工夫が徹底されているなと思った。

⭐︎1番印象に残っているシーンは、回想シーンの3年前における真犯人と安室達同期の戦闘。こんなにヒリヒリして痺れるアクションシーンはこれまでの劇場版コナンでもなかなか無かったと思う。
ぎー

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