ぎー

若おかみは小学生!のぎーのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
3.5
【第42回日本アカデミー賞特集1作品目】
今の日本のアニメ作品はどれもクオリティが高過ぎる。
巷でかなりの高評価、とはいえ、児童文学の劇場化作品でメインターゲットが(おそらく)子供である本作も、その例に漏れない。
登場人物こそ、子供への分かりよさを考慮してか、分かりやすい画となっているが、温泉街の風景、旅館の内外装、料理、季節の移ろい、どれをとっても素晴らしかった。

本作では幾つか感銘を受けるポイントがあったが、まずは温泉旅館のおもてなしであろう。
僕らが普段旅館を利用させていただいて、感動を味わっているが、その背景にはこのような心尽くし、関係者の努力があったのだと、改めて気付かされた。
美しい温泉描写も相まって、今すぐにでも温泉旅行に行きたくなった。

そして何よりも、主人公おっこの健気さであろう。
ネット等を見ていると賛否両論ある。
両親を事故で失って、生まれ育った地から田舎に引っ越して、跡継ぎのいない旅館を将来的に引き継ぐこととなり、義務教育である小学校と旅館の若女将業を両立させる。
このバックグラウンド、このタイミングで、これだけの頑張りは並大抵のことではない。
いや、尋常ではない。
その点についての違和感はたしかにある。
が、これはそういった各要素を経験する環境にある人々へのエールなんだと、自分は受け止めた。
大変な状況であっても、健気に前を向いて頑張っていれば、仲間は集まってくるし、結果もついてくる。
そして、何よりも1人ではないんだと。
作中には1人として悪役など存在せず、ただただ前向きな気持ちにさせてくれる、美しい映画だった。
ぎー

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