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階段の先には踊り場があるの8637のレビュー・感想・評価

階段の先には踊り場がある(2022年製作の映画)
3.7
正論の壁を越えられない先輩は、立場的に何も言われないヒモ予備軍でもある。そんな彼が保留にしている女性関係のこじれ。現状を映し出す映画なので理由は知り得ないが、分からない余地がある事が"好き"の最上形態なんじゃなかろうか。
恋愛観ばかりを問うものではなく、映画や演劇と密接に関係しながらその先へ抜け出ていて面白かった。

ジャジーな音楽とともに会話が流れ、大長編ながらも重さを感じさせない。
その世界観に、少し知ってる俳優さん達がいる妙もある。割とコント集とかに近い感じかも。だけど切り離すにはあまりにも断片的。

いや分かる、分かるけどめんどくさい説明。「なんて言えばいいのかな」が常套句。語弊のある言い方で締めて険悪。回りくどいのは、映画の面白さ的には好都合。
手島実優はもう存在自体がズルい女だなと思う。先輩の蛇足に付き合いながら、好かせたい気満々じゃねえか。

今泉力哉監督の映画をさらに身近に寄せた感覚がした。世間的に言われるような感覚も、監督の言うタランティーノや鈴木卓爾からの影響というのも後出しだけどすごい分かる。
「恋愛恐怖症の女」もいつか観よ。
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