ミーハー女子大生

恋は光のミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
4.0
【あらすじ】
大学生の西条(神尾楓珠)は、恋する女性が光って見えてしまう特異体質を持つために恋愛を遠ざけてきたが、「恋というものを知りたい」という東雲(平祐奈)に一目惚れしたことで、彼女と恋の定義について意見を交わす交換日記を始める。
そんな二人の様子に、長らく彼に片思いしている幼なじみの北代(西野七瀬)は心中穏やかでいられない。
一方、他人の恋人を欲しがる宿木(馬場ふみか)が、西条を北代の恋人と勘違いして猛アタックを開始。
やがて宿木と北代も交換日記に加わり、4人で恋の定義を考え始める。

【感想】
この世界に浸っていたい、終わらないで、と思える作品でした。
皆が可愛いい、真面目に論理的に恋について語っていく、それぞれの思いにキュンとした。
少女マンガのような劇的な事が起こるようなものとは違う、妙なリアル感もある。
大学生4人による恋の定義合戦というか恋愛バトルというか、よくある幼なじみもの、青春もの、初恋もの、というか、、、。
いろんな要素が詰まっていて、さらに、4人のキャラがとても分かりやすく設定されていて、セリフの中身と掛け合いが見事、若手俳優の演技も見応えがあります。

神尾楓珠、西野七瀬、平祐奈、馬場ふみか、4人ともにそれぞれが個性的なキャラクターを演じ切っています。
なかでも、やはり、いちばん普通のキャラである北代役の西野七瀬は、より自然体な演技が求められる難しい役どころだと思うのですが、透明感のある雰囲気の中で、諦めや期待、ちょっとワクワクドキドキといった、感情表現をされていて、目が離せなかったです。
そして、北代以外の3人は、それぞれちょっとぶっ飛んだいかにもコミックスから飛び出してきた感じのキャラクターで、皆さん真面目なのですが、いたるところで、クスクス笑わせてくれます。

理屈っぽい映画ですし、馬場ふみかさんが神尾楓珠くんに「武士なの?」というように、普通の会話劇ではありません。
神尾くん、西野さん共に、喋り方が武士というか、時代劇というか、こんな大学生いないだろ?と思いつつも、彼らを応援したくなります。
幼なじみだからそうなんですが、「北代」って西野さんを苗字で呼ぶ感じ、良いですね。
エンドロール見たら、ほんとに「北代」だけで、名前設定すらなかったという…(笑)
馬場ふみかさんを「宿木嬢」と呼び、「…嬢」となるところも良いです。

劇中では、略奪愛しか燃えない馬場ふみかさんは一見異端児かと思いきや、感覚的には一番普通の大学生です。
恋の定義の交換日記に「は?」と普通は思いますし、ピュアすぎる平祐奈さんに普通は「馬鹿にしてるの?」と思いますから。

よくあるラブコメの、もうお腹いっぱいの「壁ドン」や、さあここでキュンキュンしろという押し付けシーンはなく、もうひたすら「恋とは??」です。
そんな理屈くさい映画だからこそ、理屈を超えた感情に心が震えます。

見ているほうとしては、だんだん、西野さんがなぜ光らないかという根拠付けは、どうでもよくなるのですが、最後の美術館での2人のシーンは、日本の恋愛映画史に残るんじゃないでしょうか。

2日ほど?机に向かいっぱなしで、ノートにびっしり書き上げた手紙。
全部読んでみたいなと思います。
あれが彼の誠意だということはすごく伝わりましたし、誠意のある彼はカッコよかったです。

ストーリー 3
演出 5
音楽 3
印象 3
独創性 5
関心度 4
総合 4.0

7/2024