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グリッドマン ユニバースのdiesixxのレビュー・感想・評価

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)
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2018年の『SSSS.GRIDMAN』は、円谷作品の中でもほとんど忘れ去られていたB級キャラクターを青春学園ドラマとして鮮やかにリブートしつつ、本家ウルトラ以上(同時期はどちらかというと異色作のウルトラマンR/Bだったこともあるが)の怪獣愛と特撮マインドを注入した上に、原作のサイバーヒーローという設定を「人はなぜ物語を必要とするのか」という深遠なテーマにまで昇華、結実させた大傑作だった。『SSSS.DYNAZENON』はテーマ性では一作目に劣るものの、前作の学園ラブコメと怪獣ドラマの融合を娯楽路線で押し広げた申し分ないスピンオフだった。
今回はその両作のメインキャラクターが一堂に会するお祭り映画でありながら、流行りのマルチバースの設定を用いつつ、1作目の物語論をさらに先に進めてみせたほぼ完璧な続編。それぞれの主題歌が順番にかかり、さらに映画版の主題歌へと移行していく終盤のバトルシーンは、正直トゥーマッチすぎて疲れてくる感じもあるのだが、カツカレーと寿司とチョコレートサンデー一気食べて、苦しんで吐いてるみたいな幸せな胸焼け。
日本の特撮、ロボットアニメに傑作アニメ『スパイダーバース』をやってみるという下手したら瓦解してしまいそうな企画を、絶妙なバランスで成功させたtriggerのスタッフに脱帽。今後、口コミで人気が広がり、社会現象化していくかも…なんて思わせる笑って泣けて熱くなれる作品。
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